登熟期間中の降雨による小麦の品質低下と品種間差
- [要約]
- 登熟後期(出穂後43〜53日頃)の降雨は、小麦の耐倒伏性、検査等級、フォーリングナンバー、粉の色相を大きく低下させるものの、それらの低下程度には品種間差が認められ、「イワイノダイチ」が小さく安定している。
- [キーワード]
- 降雨、粉の特性、小麦、検査等級、色相、フォーリングナンバー
- [担当]
- 福岡農総試・農産研究所・栽培部・作物品種研究室
[連絡先]電話092-924-2848
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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小麦栽培では、出穂期以降の降雨により、倒伏や生育不良を生じ、粉の特性も大きく低下するが、粉の特性に悪影響を及ぼす降雨の時期や雨害による品質低下の品種間差は明らかでない。そこで、登熟期間の雨害に強い高品質な小麦品種を選定するための基礎的知見を得る目的で、出穂期以降の降雨が粉の特性に及ぼす影響の品種間差を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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出穂後の降雨は、倒伏程度、検査等級、千粒重、容積重、フォーリングナンバー、粉の色相、タンパク質含有率に影響を及ぼす。特に、登熟後期に当たる出穂後43〜53日の降雨は、小麦の検査等級、フォーリングナンバーおよび粉の色相を大きく低下させる(表1)。
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登熟後期に当たる出穂後43〜53日の降雨による検査等級とフォーリングナンバーの低下程度には、品種間差が認められる。検査等級の低下程度は「イワイノダイチ」が最も小さく、フォーリングナンバーの低下程度は、「イワイノダイチ」と「農林61号」が穂発芽発生の目安である300秒以上で安定しており、「チクゴイズミ」は明らかに大きく劣る(表1)。
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出穂後43〜53日の降雨による粉の色相の低下程度には、品種間差は認められず、各品種ともに劣化する(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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出穂以降の雨害に強い品種選定及び高品質小麦生産のための技術資料として活用する。
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[具体的データ]
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表1 出穂期以降の降雨処理が小麦の粉の特性に及ぼす影響
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[その他]
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研究課題名:作期の早進化のための秋播型小麦品種の選定と生育・品質の特性解明
予算区分 :国庫(21世紀プロ[I]系)
研究期間 :2000年度