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カズノコグサの葉齢進展とチフェンスルフロンメチル剤の防除効果


[要約]
カズノコグサの葉齢進展と積算気温との間には高い相関が認められ、積算気温約摂氏90度で1葉進展し、各葉齢時におけるチフェンスルフロンメチル剤の防除効果は、水和剤では3葉期まで、粒剤では2葉期までの処理が有効で、乾物重を30%程度以下に抑制する。

[キーワード]
カズノコグサ、積算気温、チフェンスルフロンメチル、麦作、葉齢進展

[担当]
九州沖縄農研・水田作研究部・雑草制御研究室

[連絡先]電話0942-52-0675	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
イネ科雑草のカズノコグサは麦用土壌処理型除草剤だけでは残草し、九州の麦圃で問題となっている。チフェンスルフロンメチル剤は同じイネ科雑草であるスズメノテッポウに卓効を示すことから、カズノコグサに対しても防除効果が期待される。本剤の効果は一般に処理時の葉齢に大きく影響を受けるため、葉齢進展の特徴を明らかにすることが重要である。そこで、葉齢進展と積算気温との関係を調査し、スズメノテッポウと比較して、その特徴を明らかにする。また、カズノコグサの各葉齢時におけるチフェンスルフロンメチル剤の防除効果を明確にする。

[成果の内容・特徴]
  1. カズノコグサとスズメノテッポウともに、5葉期までは発生日からの積算気温と葉齢進展に高い相関が認められ、カズノコグサでは1月5日まで、スズメノテッポウでは1月20日までに発生した個体について一つの回帰式で葉齢が推定できる(図1)。

  2. 1葉進展するのに必要な積算気温はカズノコグサで約摂氏90度であり(図1)、積算温度あたりの葉齢進展速度はスズメノテッポウに比べて遅く、同時に発生した場合、スズメノテッポウが5葉に達した時にカズノコグサは約4.5葉である。

  3. カズノコグサに対するチフェンスルフロンメチル剤の作用は枯殺よりも生育抑制が主体で、早い時期の処理で防除効果が高く、水和剤では3葉期まで、粒剤では2葉期までの処理で乾物重を無処理区比30%程度以下に抑制する(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. カズノコグサ発生圃場における防除法確立のための基礎的知見として利用できる。

  2. 積算気温は日平均気温の積算値である。

  3. スズメノテッポウ5葉期に合わせてチフェンスルフロンメチル剤を処理すると、カズノコグサに対する防除効果は低くなるので、カズノコグサ発生圃場では早い時期に処理を行う。

  4. チフェンスルフロンメチル剤の処理時期については使用基準を遵守する。

[具体的データ]

図1 カズノコグサとスズメノテッポウの葉齢進展と積算気温の関係


図2 葉齢の異なるカズノコグサに対するチフェンスルフロンメチルの防除効果

[その他]
研究課題名:暖地の麦作における難防除雑草制御技術の開発
予算区分 :21世紀プロ1系
研究期間 :1999〜2001年度