減圧染色法によるイグサの染色に適する食用色素および草木染め色素
- [要約]
- 減圧染色法を用いて食用色素の青1号、黄色4号および赤色106号でイグサを染めると反応染料より鮮やかに染まる。耐光性と乾燥摩擦堅ろう度は塩基性染料より強い。草木染め色素であるシブキは暗茶色、茜は暗褐色に染まる。耐光性は反応染料より弱く塩基性染料より強い。
- [キーワード]
- 食用色素・草木染め色素・鮮やか・耐光性・乾燥摩擦堅ろう度
- [担当]
- 福岡県農業総合試験場・筑後分場・い草研究室
[連絡先]電話0944-32-1029
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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現在、花莚には塩基性染料が色鮮やかにイグサを染めることから広く用いられ、反応染料は耐光性が高いことから高品質花莚に用いられている。反応染料を用いた減圧染色法はイグサ内部の組織を染色するため、これまでイグサを染色できないとされてきた染料でも、減圧染色法により染色できる可能性がでてきた。最近、健康志向や自然志向といった消費者ニーズに対応した花莚が望まれている。そこで、減圧染色法を使用して食用色素および草木染め色素のイグサ染料としての適用性を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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食用色素の青色1号、黄色4号および赤色106号で、イグサは反応染料より色鮮やかに染まる。草木染め色素であるシブキは暗茶色、茜は暗褐色に染まる(表1)。
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食用色素の耐光性は黄色4号が塩基性染料や反応染料より強く、青色1号と赤色106号は塩基性染料より強く反応染料より弱い。草木染め色素であるシブキ(ヤマモモ樹皮)と茜は、塩基性染料より強く反応染料より弱い(表2)。
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食用色素の青色1号、黄色4号および赤色106号とも、乾燥摩擦堅ろう度は塩基性染料より強く反応染料より弱いが、湿潤摩擦堅ろう度は塩基性染料と差がない。草木染め色素であるシブキおよび茜の摩擦堅ろう度は、乾燥、湿潤とも概ね塩基性染料より強く反応染料より弱い(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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健康志向や自然志向に対応した花莚用色素として活用できる。
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[具体的データ]
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表1 食用色素及び草木染め色素で減圧染色したイグサの染着程度

表2 食用色素及び草木染め色素で染めた表の耐光性と摩擦堅牢度
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[その他]
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研究課題名:無染土イグサの加工法及び染色技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2000年度