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米の老化促進処理による古米の食味評価方法


[要約]
スタビリティーテスティングチャンバー(摂氏温度40度、湿度95%)を用いて米を30日間処理したのち炊飯米のH/-H比を測定することにより、1年間室温貯蔵した場合の古米の食味を評価できる。

[キーワード]
古米、食味、スタビリティーテスティングチャンバー、テクスチャー

[担当]
福岡農総試・農産研究所・栽培部・作物品種研究室

[連絡先]電話092-924-2848	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
古米でも食味が優れる品種の育成・選定のために、老化を早めるスタビリティーテスティングチャンバー(温度摂氏40度、湿度95%)を用いて、貯蔵期間が食味と理化学的特性に及ぼす影響を明らかにして、古米の食味の良否を効率的に評価する方法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 古米の食味と炊飯米のテクスチャー特性のH/-H比との間には有意な負の相関関係が認められ、古米で食味が良好な品種では古米のH/-H比が小さい。また、古米の遊離脂肪酸含有率についても同様な傾向がある(表1)。

  2. スタビリティーテスティングチャンバーを用いて米の老化を早めた場合、古米のH/-H比および遊離脂肪酸含有率と各処理におけるH/-H比および遊離脂肪酸含有率との相関は30日間処理で最も大きくなる。このため、古米のH/-H比と遊離脂肪酸含有率は30日間処理により評価できる(表2)。

  3. 古米の食味との相関は、30日間処理のH/-H比で高く(図1)、遊離脂肪酸含有率では低い(1999年産r=-0.272、2000年産r=-0.214)。このことから、30日間処理でのH/-H比は、古米の食味評価の有効な指標として利用できる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 貯蔵性の優れた水稲品種の育成・選定のための選抜技術として活用できる。

  2. 古米の食味特性の評価には、老化の少ない「コシヒカリ」を基準品種として用いる。

[具体的データ]

表1 古米における米の食味と遊離脂肪酸含有率、H/-H比との相関係数


表2 古米の遊離脂肪酸含有率、H/-H比とスタビリティーテスティングチャンバーを用いた処理期間別の遊離脂肪酸含有率、H/-H比との相関係数


図1 30日間処理後のテクスチャー特性と古米の食味との関係

[その他]
研究課題名:米の貯蔵性の評価方法
予算区分 :経常
研究期間 :1999〜2001年