台風被害の少ないサトウキビ新品種「Ni17」
- [要約]
- サトウキビ新品種候補「Ni17」は風折抵抗性に優れ、潮風害後の展開葉数が多く、収穫期の糖度が安定して高い。また萌芽性が良く株出収量が高いため、本系統の普及により台風による茎収量、糖度の低下に苦しむ地域の生産安定を図ることができる。
- [キーワード]
- サトウキビ、耐風性、潮風害、株出多収
- [担当]
- 沖縄県農業試験場・作物部・さとうきび育種研究室
[連絡先]電話098-884-9902
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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沖縄県久米島及び鹿児島県奄美地域では、脱葉性が良く立茎で中・晩期型高糖性の「F177」が普及しているが、同品種は株出萌芽が不良で、台風時の強風による茎の折損や潮風害により収穫期の糖度が低いために生産が不安定であり、台風害に強い高糖株出多収品種への期待が大きい。そこで、新たに開発した「Ni17」を台風による収量及び糖度低下の多い地帯に導入し、それらの地域の生産安定を図る。
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[成果の内容・特徴]
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「Ni17」は早期高糖性の「NiF8」を母本に、立茎で易脱葉性の「RF79-247」を父本に用い、1990年に交配して得た実生から選抜、育成した系統である。
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台風による茎の折損が「F177」より少ない。
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台風による潮風害後の展開葉数が多く、収穫期の糖度は「F177」より高い。
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登熟は「F177」より早く、糖度が安定して高い。
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株出時の萌芽性に優れ、多収である。
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黒穂病抵抗性は弱である。
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[成果の活用面・留意点]
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台風による収量及び糖度低下の問題が深刻な沖縄県久米島及び鹿児島県奄美地域を普及対象とすることでそれらの地域における安定生産が期待できる。
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収穫期の梢頭部量が多く、「F177」と同様に冬場の畜産飼料として活用できる。
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株出多収であるため、春植あるいは夏植後の株出栽培の振興に有効である。
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黒穂病抵抗性は「NCo310」並の「弱」であるため、発生地域においては防除対策を十分に行う。
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[具体的データ]
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表1 RK-1004の特性概要一覧
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[その他]
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研究課題名:サトウキビ新品種育成
予算区分 :指定試験
研究期間 :1991〜2002年度