大豆「サチユタカ」の晩播栽培における4条密播による無中耕無培土栽培
- [要約]
- コンバイン収穫を前提とした大豆「サチユタカ」の晩播栽培における4条密播による無中耕無培土栽培では、条間を35cmとし、株間を23cmにすると倒伏程度が小さく、収量および品質が優れる。
- [キーワード]
- 大豆、サチユタカ、晩播、密播、無中耕無培土
- [担当]
- 福岡県農業総合試験場・農産研究所・栽培部・作物栽培研究室
[連絡先]電話092-924-2848
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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大豆の収量は年次間の変動が大きく、変動要因として梅雨末期の降雨による播種期の遅延や浸冠水による出芽不良等があげられる。播種期の遅延によって7月下旬のような晩播栽培となる場合、密播して生育量を確保することが収量向上につながるが、フクユタカでは密播すると倒伏しやすく、また収穫時期が遅くなり後作麦の播種作業が遅延する。そこでコンバイン収穫を前提として、早生で耐倒伏性の優れる「サチユタカ」の晩播栽培での無中耕無培土による省力安定多収技術を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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7月下旬の晩播栽培において、条間35cmの4条密播による無中耕無培土栽培(図1、図2)では、フクユタカは主茎長が長く、倒伏程度が大きい。しかし、サチユタカは、フクユタカに比べて倒伏程度は小さく、収量も優れ、成熟期が7日程度早い(表1)。
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サチユタカの4条密播による無中耕無培土栽培では、株間23cmは株間16cmや11cmに比べて、倒伏程度が小さく、また子実肥大後期のm2当たり乾物重も重く、収量が高い傾向にある。また、検査等級も同等かやや優れる(表1、図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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排水のよい水田転換畑で7月下旬に晩播栽培する場合の播種技術として利用できる。また無中耕無培土により、夏期の培土作業を省略することによる省力化や汎用コンバインによる収穫作業の効率化と汚粒発生の軽減が可能になる。
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1株2粒播の播種機で、条間を35cm、株間を23cmとした場合の必要播種量は約8kgである(百粒重32gで算出)。
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無中耕無培土栽培であるため、雑草対策として播種後土壌処理剤の散布を前提とする。
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[具体的データ]
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図1 慣行培土栽培(上)と4条密播による無中耕無培土栽培(下)のうね形状の比較

図2 4条播種機(目皿式)

表1 4条密播による無中耕無培土栽培における播種密度と生育・収量(7月25日播種)

図3 サチユタカの晩播4条密播栽培における株間と乾物生産
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[その他]
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研究課題名:新たな米生産拡大に対応した水田転作大豆の高生産技術
予算区分 :国庫(地域基幹)
研究期間 :1999〜2002年度