カンショの貼付トンネルを利用した省力的早熟栽培
- [要約]
- 省力的な早熟栽培技術としてタバコ栽培用の貼付トンネルの利用が可能であり、時期としては、3月下旬から4月中旬までの挿苗、7月下旬収穫で2t以上の収量が上げられる。
- [キーワード]
- カンショ、貼付トンネル、省力、早熟栽培
- [担当]
- 佐賀上場営農セ研究部・畑作経営研究室
[連絡先]電話0955-82-1930
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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佐賀県東松浦地区は、県内唯一のカンショ産地であるが、近年は価格の低迷、農家の高齢化等により作付け面積が減少している。そのため、価格の高い早熟出荷と省力的な栽培技術の確立を図るために、貼付トンネル(タバコ栽培用)の利用を検討した。
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[成果の内容・特徴]
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貼付機で、有孔ポリフィルムを無支柱でマルチ上に貼付する。カンショの茎葉が大きくなりながら、ポリフィルムを自力でトンネル状に押し上げていく(図1)。
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作業体系は、挿苗は3月下旬から4月中旬、貼付期間は挿苗直後から5月中旬までで、7月中旬頃から収穫できる(図2)。
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作業時間は、畦幅0.85mで10a当たり約40分となる。資材費は、貼付機が約27,400円、貼付トンネルフィルムが10a当たり約9,900円になる。
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4月6日(最高気温:摂氏19.8度)時点での地温の推移は、地表下15cmの地温は、貼付した区が常に高く推移する(図3)。
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挿苗後に降雨があれば、貼付の効果があるが、降雨が無いと効果が無い。(図4、表1)
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貼付によって上イモ数が増えて、7月下旬収穫で2t以上の収量が上げられる。また、黒マルチが透明マルチに比べ収量が高い(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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品種は、「べにまさり」で検討した。
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佐賀県東松浦郡地区は、平年の最低気温が、3月下旬で摂氏6.5度、4月上旬で摂氏7.9度、4月中旬で摂氏9.1度である。
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施肥は、普通マルチ栽培に準ずる。
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挿苗後に降雨が少ない場合、活着促進のためかん水が必要である。
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[具体的データ]
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図1 貼付トンネル

図2 作業体系

図3 地温の推移(2001年、4/6)

図4 降水量の推移

表1 収量調査
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[その他]
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研究課題名:九州・沖縄における地域特産畑作物産地活性化のための新しい持続的輪間作体系化技術の開発
予算区分 :助成試験(新技術実用化)
研究期間 :2000年〜2003年度