大豆種子の播種前水分調整による出芽苗立ちの安定化
- [要約]
- 播種前に敷きパットを用いた簡便な調整方法で、大豆種子の水分を15〜16%に高めることにより、出芽が早くなり、苗立ちが向上する。また、水分調整した種子は摂氏10度で約1ヶ月保存できる。
- [キーワード]
- 播種前、大豆種子の水分、出芽苗立
- [担当]
- 宮崎総農試・作物部・栽培科
[連絡先]電話0985-73-2126
[区分]九州沖縄農業・畑作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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本県における大豆の10a当たりの収量は120〜180kgの低収でありその要因としては播種時期の降雨との関係が大きく、播種作業の遅れ、湿害による種子の腐敗や土壌被膜の形成による出芽不良等が上げられる。そこで、出芽苗立ちの安定化を図るため、播種前の大豆種子の水分調整が出芽に及ぼす影響と簡便な水分調整法及び貯蔵法について検討した。
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[成果の内容・特徴]
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水分調整の方法は、種子12kgを2つのプラスチックのかごに半量づつ入れ、これを水に浸けて湿らせた後、洗濯機の脱水槽で30秒間回転させた敷きパットで包み、さらに特大ビニール袋で密封したものを室内に放置する。その結果、大豆の水分は1日当たり0.7%ずつほぼ一定の割合で増加し、7日間で目標とする水分(15〜16%)に高めることができる(図1、図2)。
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水分調整した種子を摂氏10度で保管しておくと、約1ヶ月は90%程度の安定した出芽率を維持できる(図3)。
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播種前水分調整することにより出芽が早く、苗立ち率が10%程度高くなる。その効果は播種直後に灌水し、土壌被膜が形成された場合においても高い(図4)。
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[成果の活用面・留意点]
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大豆出芽時の湿害回避対策として活用できる。
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水分調整を行う際は、種子水分を均一にするために1日1回程度攪拌する。
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[具体的データ]
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図1 水分調整後の湿度と種子水分の推移

図2 簡便な種子水分調整法

図3 播種前水分調整種子の貯蔵方法と出芽率

図4 種子の水分調整および灌水の有無と出芽苗立ち
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[その他]
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研究課題名:転作作物定着化のための転作大豆の省力・低コスト栽培技術の開発(国庫)
予算区分 :国庫(地域基幹)
研究期間 :「1999年〜2003年」