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イタリアンライグラスサイレージ風乾物中のカリウム含量の簡易測定技術


[要約]
イタリアンライグラスサイレージ風乾物中のカリウム含量は、小型反射式光度計により、相関係数0.96の高い精度で測定できる。

[キーワード]
イタリアンライグラスサイレージ風乾物、カリウム、小型反射式光度計

[担当]
福岡農総試・畜研・飼料部・家畜栄養研究室

[連絡先]電話092-925-5229	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(草地飼料作・生産利用)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
近年、家畜糞尿の多量施肥等により、自給粗飼料中のカリウムの蓄積が問題となっている。特に酪農経営において、乾乳後期にカリウム含量の高いエサを給与すると、低カルシウム血症を引き起こすことから、予め自給粗飼料中のカリウム含量を把握する必要がある。

イタリアンライグラスの生草及びサイレージの搾汁液を用いた小型反射式光度計での測定方法は明らかにされているが、本県では粗飼料分析診断の利用が多く前処理として風乾物(ADM)処理を行っていることから、イタリアンライグラスサイレージ風乾物利用による小型反射式光度計を用いたカリウム含量の測定方法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 水田で生産されたイタリアンライグラスのカリウム含量は、河川敷で生産されたものに比べ高い傾向があり、またミネラル変動も大きい(表1)。

  2. 原子吸光光度計による分析値と小型反射式光度計による分析値の相関は0.96であることから、風乾物中カリウム含量は小型反射式光度計により高い精度で推定することができ、その場合の回帰式は、Y=1.15X-0.08である(図2)。(Y=回帰式によるカリウムの推定値、X=小型反射式光度計によるカリウム測定値からの換算値)

  3. イタリアンライグラスサイレージ風乾物におけるカリウム含量の測定は、風乾物試料2gに蒸留水50mlを加え、20分振とう後、ろ過したろ液をリフレクトクァントカリウムテストキットの測定方法に準じて測定を行う。(図1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 飼料の給与設計への活用、飼料作物栽培における施肥設計の参考になる。

  2. 風乾物試料2gでは、3.1ADM%以上の際は、ろ液を希釈して測定を行う。

  3. 小型反射式光度計で表示される値はK(g/L)で表示されるが、風乾物%に換算する場合は、下記の式を用いる。・風乾物中のカリウム換算値(ADM%)=カリウム測定値(g/L)×0.1×(蒸留水による希釈量)ml÷(用いた風乾物試料量)g

[具体的データ]

表1 原子吸光光度計及び小型反射式光度計によるイタリアンライグラスサイレージ風乾

物中のカリウム含量(平成14年)


図1 イタリアンライグラスサイレージ風乾物中カリウム分析手順


図2 原子吸光光度計による分析値と小型反射式光度計による測定値の相関

[その他]
研究課題名:高品質生乳生産のための自給飼料作物の栽培・評価技術
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :2000〜2003年度