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家畜尿汚水処理施設のハウス設置による冬季保温効果


[要約]
冬季において、曝気槽にビニールハウスを設置すると、曝気槽の保温が可能となり、汚泥活性が十分であれば、ハウス内部においても悪臭はほとんど発生しない。また、処理水濃度は、設置しない場合と比較して顕著に減少する。

[キーワード]
保温効果、ビニールハウス、曝気槽、臭気

[担当]
佐賀県畜産試験場・中小家畜部・養豚環境研究室

[連絡先]電話0954-45-2030	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(中小家畜)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
佐賀畜試では、活性汚泥法より、環境条件の変動に強く、維持管理が比較的容易な生物膜法での処理技術を確立している。しかし、生物膜法においても、水温が低下する冬期においては、処理水の全物質成分濃度が上昇する。そこで、汚水処理で課題となっている冬期での水温低下による処理能力低下を防止するため、ハウスを設置せず、半地下方式でのみ処理した期間(平成12年度実施:以下試験1)と半地下方式に加え曝気槽全体をビニールハウスを設置して処理した期間(平成13年度実施:以下試験2)との比較を行いその効果を追求した。

[成果の内容・特徴]
  1. 試験槽は、曝気槽全体をビニールハウスを設置し、被覆させた(縦×横×高さ:6,550×9,675×3,750mm)(図1)。

  2. ハウスを設置することにより、気温の最低値摂氏-3.8度においても摂氏11.9度まで維持することができる。ハウス内温度においても、冬季の期間中摂氏13.3度と高い値で推移し、外気温の平均値に対して、摂氏7度程度高く推移する(表1)。

  3. ハウス内部における臭気は若干確認されるものの、適切な汚水投入濃度および微生物の活性が十分であれば、内部においても悪臭はほとんど発生しない(表2)。

  4. 処理水においても設置しない場合と比較してBOD、COD、SSは顕著に減少し、ハウス設置による保温効果により処理水濃度が低下する(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 連続式曝気槽に適応可能である。

  2. 本試験においては曝気槽における投入BOD容積負荷は平均0.6kg/m3・dayで行ったが、現場段階では安全性を考慮して0.5kg/m3・day以下で行った方がよい。

  3. ハウスの設置費用は、肥育豚1000頭相当の施設において、約15万円程度である。

  4. ビニールは水温が低下する11月までに設置すると効果が得られる。

[具体的データ]

図1 試験槽概要及び温度センサー設置箇所


表1 各試験における温度、DOの変動


表2 ハウス内外の臭気性状(試験2)


表3 各試験における投入、処理水性状及び除去率平均値の推移

[その他]
研究課題名:冬季における家畜尿汚水処理施設のハウス設置による保温効果
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2003年度