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汚水処理技術における生物膜法担体セラミックスの低コスト化


[要約]
生物膜法による汚水処理施設の低コスト化を図るため作出した試作セラミックスは、市販セラミックスと比較して、ほぼ同等の物理性状及び浄化能力が得られる。

[キーワード]
試作セラミックス、充填率、BOD容積負荷

[担当]
佐賀県畜産試験場・中小家畜部・養豚環境研究室

[連絡先]電話0954-45-2030	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(中小家畜)	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
佐賀県畜産試験場において、市販セラミックを担体とした生物膜法による畜産汚水浄化試験を行い、維持管理が簡易な処理法を開発しているが、市販セラッミクスのコストが高く、農家に設置する際の課題となっている。そこで、担体資材の試作を行い、より低コストな汚水処理システムの確立を図る。供試担体は、試作セラミックス(図1)、比較対照として、市販セラミックス(外径30mm,高さ15mm)、及び軽石(鹿児島県内より採取した平均径45×36mm、比重1.0以上)の3種類を選定し試験を行った。

[成果の内容・特徴]
  1. 試作セラミックスは、市販セラミックスと比較して約40%のコストで導入可能であり、ほぼ同等の物理性状が得られる。軽石は10,000円/m3と最も安いものの、耐久性が他の担体と比較して劣る(表1)。

  2. 総容量6Lに設定した試験槽に、処理水の引き抜き及び汚水の投入量を1日1回1Lとした条件下において、生物化学的酸素要求量(以下BOD)は90%以上、浮遊物質(以下SS)は80%以上の浄化が得られる。化学的酸素要求量(以下COD)、アンモニア性窒素(以下NH4-N)についても70%以上の浄化が得られ、市販セラミックスとの差はほとんど認められない(図2)。

  3. BOD容積負荷は0.1〜1.1kg/m3・dayの範囲において、平均90%以上の高い除去率が確認される(図3)。

  4. 担体充填量は、容積比で40〜50%で浄化能力には差がなかったことより、コスト面を考慮して40%程度でも浄化可能であり、肥育豚1000頭規模においては、約300万円程度(36m3)で導入可能となる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 希釈水が確保できない地域又、豚以外の畜種にも適応可能である。

  2. 軽石は、耐久性が他の担体と比較して劣り、散気管の目詰まりを起こす原因となるため、畜舎排水処理における担体としては不適である。

[具体的データ]

図1 試作セラミックス性状及び形成方法


表1 各試験区における供試担体物理性状


図3 各試験区におけるBOD容積負荷による除去率の推移


図2 各試験区における成分除去

[その他]
研究課題名:低コストセラミックスを利用した汚水浄化処理試験
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2003年度