Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成14年度目次

飼料イネ(モーれつ)ホールクロップサイレージの採食性及び消化性


[要約]
黒毛和種繁殖雌牛による飼料イネホールクロップサイレージ(以下飼料イネWCSとする。)の自由乾物摂取量及びTDN摂取量は維持要求量を上回ったが、粗蛋白質及びDCP摂取量は維持要求量の7割程度である。

[キーワード]
飼料イネWCS、消化率、TDN、自由採食量

[担当]
鹿児島畜試・飼料部

[連絡先]電話0995-48-2189	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
本県における飼料用稲作付面積は平成14年度で約99.7haであり、そのうちWCS利用は約40haである。今後、ロールベール体系によるWCS調製の普及に伴い、さらに栽培利用が増えるものと思われる。しかし、本県産の飼料イネWCSの飼料成分や栄養価についての知見は少なく、採食性及び消化性についても明らかでない。そこで、黒毛和種繁殖雌牛を用いて飼料イネWCSの給与試験を実施し、採食性、消化性及び栄養価について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 糊熟期の飼料イネWCS(モーれつ)は、粗蛋白質が低く、粗灰分が高い(表1)。

  2. 全糞採取法による飼料イネWCSの消化率は、粗蛋白質45%、粗脂肪60%、粗繊維67%、可溶無窒素物57%(表2)で、DCP及びTDNは、いずれも日本標準飼料成分表のイネサイレージより低く、稲ワラサイレージより高い(表3)。

  3. 1日1頭当たりの自由乾物摂取量及びTDN摂取量は、日本飼養標準の肉用牛成雌牛(維持期)の要求量を上回ったが、粗蛋白質、DCPについては要求量の7割程度の摂取量である(表4)。

  4. 飼料イネWCSの未粉砕モミについては、insitu法による消失率に変動は見られず、咀嚼による破砕を受けないモミは、ほとんど消化されずに糞中に排出されると推測される(図1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 西南暖地における飼料イネ栽培〜利用の指針として利用できる。

  2. 本成果は家畜への給与の参考とはなるが、単年度の試験成績であり、データの蓄積及びさらなる検討が必要である。

[具体的データ]

表1 給与飼料成分値(乾物中%)


表2 消化率(%)


表3 飼料中DCP及びTDN含量(乾物中%)


表4 自由乾物摂取量及び各成分摂取量


図1 第一胃内乾物消失率

[その他]
研究課題名:西南暖地における飼料イネの省力・低コスト生産利用技術確立
予算区分 :国庫1/2(先端技術等地域実用化研究促進事業)
研究期間 :2000〜2003年度