乳用牛への稲発酵粗飼料の分離給与技術
- [要約]
- 稲発酵粗飼料を乳用牛へ分離給与し、購入粗飼料(エン麦乾草)の代替飼料として利用した結果、乾物中約1割程度給与しても、乾物摂取要求量を充足し、乳量・乳成分などに変化は見られなかった。以上より稲発酵粗飼料を購入粗飼料の代替として乳牛用飼料に利用できる。
- [キーワード]
- 稲発酵粗飼料、乳用牛、代替飼料、購入粗飼料
- [担当]
- 長崎畜試・酪農科
[連絡先]電話0957-68-1135
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(乳牛)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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最近、遊休水田の転作有効活用の方法として注目されている飼料イネは、粗飼料自給率の向上や、水田の畜産的利用などから期待されている。県内においても飼料イネの栽培が推進されているが、泌乳牛への稲発酵粗飼料(以下イネWCSと略す)給与について検討はほとんどなされていない。そこで、当場付近一帯で通常利用されているエン麦乾草とコーンサイレージを主な粗飼料とする飼養管理を想定した飼料設計において、購入粗飼料(エン麦乾草)の代替に稲発酵粗飼料を用いて、乳用牛への給与試験を実施し、乳生産性に及ぼす影響について検討を行う。
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[成果の内容・特徴]
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表1の飼料構成で分離給与を行っても、飼料摂取量において試験区と対照区に有意な差はみられず、DMおよびTDN要求量を充足できる(表2)。
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泌乳成績に関して、乳量・乳成分ともに、試験区と対照区の間で有意な差はみられず(表3)、血液性状についても、すべての項目値が正常範囲内で異常はみられない(表4)。
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[成果の活用面・留意点]
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乳用牛へのイネWCS給与の参考になる。
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牛個体によりイネWCSの嗜好性にばらつきが多少みられるので、混合飼料(TMR)としての利用がより望ましい。
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[具体的データ]
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表1 給与飼料構成内容(DM%)

表2 飼料摂取量

表3 泌乳成績

表4 血液性状
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[その他]
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研究課題名:高泌乳牛飼養管理技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2002年度