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蒸気乾燥トウフ粕の飼料成分値および人工消化法による第一胃内消化特性


[要約]
蒸気乾燥トウフ粕の飼料成分値はDM97%・TDN94%、CP27%程度であり、密封状態で保存すると3ヵ月経過しても変化しない。また人工消化法によるDM・CPの消失率は大豆粕・加熱大豆と比べて低く、牛にとってルーメンバイパス率が高い飼料である。

[キーワード]
蒸気乾燥トウフ粕、飼料成分、牛、ルーメンバイパス率

[担当]
福岡農総試・畜研・大家畜部・肉用牛研究室

[連絡先]電話092-925-5232	
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(肉用牛)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
食品製造副産物の活用により飼料費を節減することは、生産コスト低減のために重要である。近年、本県内で蒸気乾燥によるトウフ粕の新しい乾燥処理法が開発され、低コストな乾燥トウフ粕の飼料利用が可能となった。しかし、この蒸気乾燥トウフ粕の飼料成分・消化特性・保存性については明らかにされていない。そこで今回、蒸気乾燥トウフ粕の飼料特性を調査することにより、乳用牛および肉用牛への適正な給与技術の確立を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. 平成13年1月から平成14年7月までに採取した蒸気乾燥トウフ粕14ロットの飼料成分値(平均値±標準偏差)は、乾物:97.2±0.9%、粗蛋白質:27.4±1.2%、粗脂肪:13.8±0.8%、粗繊維:17.5±1.4%、粗灰分:4.3±0.1%および可消化養分総量(2001年版日本標準飼料成分表におけるトウフ粕の消化率より算出):93.9±0.8%程度であり、製造ロットによる飼料成分の変動は少ない。

  2. 蒸気乾燥トウフ粕を密封状態で保存すると、3ヵ月経過しても飼料成分値はほとんど変化しない(表1)。

  3. 大豆粕および加熱大豆と比較して、蒸気乾燥トウフ粕の人工消化法によるDM消失率は24時間まで、CP消失率は96時間まで低く推移する(図1)。また、蒸気乾燥トウフ粕のDM・CPの溶解性画分、分解性画分の速度定数、有効分解率は大豆粕・加熱大豆と比較して低く、下部消化管への到達成分量は多い(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 蒸気乾燥トウフ粕を乳用牛および肉用牛の飼料として利用する場合の参考資料として活用できる。

[具体的データ]

表1 保存状況の異なる蒸気乾燥トウフ粕の飼料成分変化(DM%)(2001年)


図1 人工消化(invitro)法によるDM・CP消失率推移(2001〜2002年)


表2 ルーメン分解パラメータ(2001〜2002年)

[その他]
研究課題名:乳用種肥育牛における蒸気乾燥トウフ粕の給与技術
予算区分 :県単
研究期間 :2002年度