肥育前期粗飼料多給による黒毛和種去勢牛の肉質の向上
- [要約]
- 黒毛和種去勢牛において、肥育前期に濃厚飼料を制限給与し、粗飼料を多給して肥育すると、肉量に影響なく、肉質の向上が期待できる。
- [キーワード]
- 黒毛和種去勢牛、肥育前期、粗飼料、肉質
- [担当]
- 佐賀上場営農セ・研究部・畜産果樹研究室
[連絡先]電話0955-82-1930
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地(肉用牛)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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当地域の黒毛和種の肥育に用いる濃厚飼料のTDN・DCPはほぼ統一され、牛肉の高品質化に寄与してきた。しかし、粗飼料については乾草等の種類やその給与体系は確立されていない。そのため、このことが枝肉成績のバラツキと近年の5等級率の低下の一因と考えられている。そこで、乾草として流通量が安定しているチモシーと稲わら、ヘイキューブを用い、肥育前期の飼料給与水準の違いが肉質等に及ぼす影響を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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肥育開始後1〜5カ月間はチモシーのみ、6〜16カ月は稲わらのみ、17カ月以降は稲わらとヘイキューブを給与し、また、濃厚飼料は、肥育開始後1〜5カ月間を制限給与し、6カ月以降から飽食すると、肉量に影響なく肉質が向上する。
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肥育前期に粗飼料を多給し、濃厚飼料を制限給与すると、濃厚飼料を飽食に切り替えてからの約4ヶ月間(肥育開始後26〜44週)の濃厚飼料摂取量が多い(図1)。
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肥育前期に粗飼料を多給し、濃厚飼料を制限給与すると、肥育開始後6ヶ月の1日当たり増体量は低いが、終了時体重および1日当たり増体量に大きな差はない(図2、表1)。
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肥育前期に粗飼料を多給し、濃厚飼料を制限給与すると、脂肪交雑(BMS)、バラ厚は優れる(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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供試牛は糸晴栄の産子である。
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[具体的データ]
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図1 飼料摂取量の推移

図2 1日当たり増体重量の推移

表1 増体成績(単位:kg)

表2 枝肉格付成績
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[その他]
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研究課題名:上場地域におけるコスト低減に向けた肉用牛の肥育期間の試験
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2005年度