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交雑種(黒毛和種雄×ホルスタイン種雌)肥育における父系統の影響


[要約]
父系統の異なる(但馬系、糸桜系)交雑種去勢牛に対し、同様の給与体系で肥育を行うと、但馬系に比べ糸桜系が飼料摂取量および増体量が大きくなる。それに伴い血中ビタミンAの推移、枝肉重量、および脂肪交雑も影響を受ける。

[キーワード]
交雑種去勢牛、飼料摂取量、増体量、血中ビタミンA

[担当]
長崎畜試・肉用牛科

[連絡先]電話0957-68-1135	
[区分]九州沖縄農業、畜産草地	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
県内において酪農家による交雑種子牛生産が増加しており、交雑種肥育経営を取り組む肥育農家も増加している。しかし、県内では飼育管理技術が一定しておらず、良質肉を安定生産できる飼養管理技術が求められている。また、肉質・肉量の異なる父系統が交雑種肥育へ与える影響を調査した例は少ない。そこで、父系統の異なる交雑種の去勢牛を用いて、飼料摂取量および肉質に及ぼす影響を検討する。

[成果の内容・特徴]
父系統(但馬系、糸桜系)の異なる交雑種去勢牛各区6頭計12頭(ただし、出荷直前に後肢の事故により2頭廃用)を用いた。両区とも県内で推奨される給与プログラムに準拠して濃厚飼料を給与し、前期、中期、後期3期の肥育期において飼養した(表1)。

  1. TDN摂取量は、濃厚飼料を制限給与している前期には、各系統間に差は見られないものの、中期以降の飽食期で糸桜系が多く摂取する傾向がある(図1)。

  2. 増体は、濃厚飼料を制限給与している前期には、各系統間に差は見られないものの、中期以降の飽食期では糸桜系が優れる傾向にある(図2)。

  3. 血中ビタミンAの推移は、TDN摂取量、増体の大きい糸桜系において中期での低下が顕著である(図1)。

  4. 枝肉成績については、増体量の高い糸桜系が枝肉重量およびバラ厚について有意に大きい。また、ビタミンAが適切に制御された糸桜系が、脂肪交雑が優れる傾向にある(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 父系統による濃厚飼料摂取量等への影響が大きいため、父系統に適した飼料給与、ビタミンAコントロールを検討する必要がある。

[具体的データ]

表1 肥育体系および給与飼料


図1 TDN摂取量および血中ビタミンA濃度推移


図2 体重および増体重


表2 枝肉成績

[その他]
研究課題名:交雑種の肥育技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2003年度