肥育後期のビタミンA給与法が増体と血中ビタミンA濃度に及ぼす影響
- [要約]
- 肥育後期において血中ビタミンAが低値を示した黒毛和種肥育牛は、ビタミンAを筋肉注射すると速やかに回復し増体量も多いが、経口投与では血中ビタミンA濃度の回復に効果が少ない。
- [キーワード]
- 肥育、ビタミンA、飼料摂取量、増体量
- [担当]
- 長崎畜試・肉用牛科
[連絡先]0957-68-1135
[区分]九州沖縄農業・畜産(肉用牛)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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ビタミンAの適正制御による高品質牛肉生産技術が開発され、血中ビタミンA濃度は肥育中期に適正制御区域に誘導した後、肥育後期には適正制御上限区域に維持することが脂肪交雑の向上に有効であるとされている。そこで、肥育中期に血中ビタミンAを低下させた黒毛和種肥育牛に、ビタミンA適正制御による高品質牛肉生産マニュアルを基に肥育後期の給与目安である5000IU/頭・日を異なる方法で給与し、肥育後期におけるビタミンA給与法が増体と血中ビタミンA濃度に及ぼす影響を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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肥育後期において血中ビタミンAが低値(20〜30IU/dL)を示した黒毛和種肥育牛は、ビタミンAを筋肉注射することで、速やかに血中ビタミンA濃度が上昇し、投与前より高く安定する。しかし、経口給与により試験開始時に1回給与すると一時的に上昇するが、その後は給与前より低値を示す。また、ビタミンA添加飼料を毎日給与すると給与前より上昇することなく緩やかに下降し血中ビタミンAの回復は認められない(図1)。
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ビタミンA給与方法が異なっても飼料摂取量は変わらないが、増体量は筋肉注射が、経口給与するより多い(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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ビタミンAの適正制御による高品質牛肉生産技術に活用できる。
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ビタミンA製剤の反芻胃による分解性を考慮する必要がある。
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飼養試験により肉質等に及ぼす影響を調査する必要がある。
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[具体的データ]
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表1 ビタミンA(VA)の給与法

図1 血中ビタミンAの推移

表2 増体量および飼料乾物摂取量
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[その他]
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研究課題名:肉用牛一貫生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2004年度