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黒毛和種肥育牛の早期出荷に適した粗飼料給与量


[要約]
7ケ月齢で肥育を開始し、25ケ月齢で出荷する肥育牛においては、TDN粗飼料比が肥育前期21.2%、中期5.2%、後期11.7%の飼養体系を用いた場合に発育並びに肉質が良好である。

[キーワード]
TDN粗飼料比、肥育開始月齢、出荷月齢、ビタミンA制御

[担当]
大分県畜産試験場・肉用牛生産技術部

[連絡先]電話0974-76-1216	
[区分]九州沖縄農業・畜産・肉用牛	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
黒毛和種肥育農家においては、肥育素牛価格の高騰、枝肉価格の低迷等から経営的に厳しい状況下にあり、経営の安定を図るためには低コスト化並びに高品質牛肉の安定生産技術の確立が急務になっている。そこで、肥育開始月齢を早期化し、早期仕上げによる肥育体系確立のため、血中ビタミンA濃度を制御した中でTDN粗飼料比を検討する。

[成果の内容・特徴]
黒毛和種の同一種雄牛産子(去勢牛7か月齢)を供試し、TDN粗飼料比を少給区は前期20%、後期10〜15%、多給区は前期40%、後期10〜15%、慣行区は肥育マニュアルに基づき、濃厚飼料は同一の肥育用配合飼料を粗飼料は稲ワラ、乾草を給与した。

  1. 少給区は多給区、慣行区に較べ濃厚飼料を前期、後期に多く摂取し、全期間では約300〜500kg多く、粗飼料は多給区に較べ約330kg少ない摂取量である(表1)。

  2. 前期の増体はTDN粗飼料比の低い少給区が多給区、慣行区より優れる傾向にあり、中期では各区とも同程度の発育であるが、後期ではTDN粗飼料比が高い少給区ならびに多給区の増体がTDN粗飼料比の低い慣行区より優れる傾向にある(表2)。

  3. 枝肉成績では少給区が枝肉重量、ロース芯面積、バラ厚、BMSNo.、きめ、しまりで優れる傾向にあるが、皮下脂肪厚は多給区、慣行区が優れる傾向にある(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 肥育農家、肥育牧場を対象に早期出荷体系の普及を図る。

  2. 血中ビタミンA濃度を制御した飼養体系であることから、肥育期間中は血中ビタミンA濃度の適正制御を行い、観察を徹底してビタミンA欠乏症の牛の早期発見、治療を行う。

[具体的データ]

表1 飼料摂取量


表2 発育成績(単位:kg)


表3 枝肉成績

[その他]
研究課題名:自給粗飼料増給による高品質牛肉の効率的生産技術の確立
予算区分 :国補、県単
研究期間 :平成12〜13年度