効率的な堆肥生産技術及び堆肥の敷料リサイクル技術
- [要約]
- 混合・粉砕機を利用することで効率的な堆肥生産が可能である。各畜種における堆肥の敷料リサイクルは病原学上問題はなく、処理量の減量化と敷料費削減に有効である。しかし、リサイクル回数については塩類集積に注意が必要である。
- [キーワード]
- 堆肥、リサイクル、敷料、粉砕処理
- [担当]
- 宮崎畜試・川南支場・環境衛生科
[連絡先]電話0983-27-0168
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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飼養規模拡大等によるふん尿処理の増大が、生産コスト低減の中で大きな障害となっている。そこで、低コストで効率的な堆肥生産技術の開発とともにこれらを敷料として再利用することにより、処理量の減量化と敷料費の削減を目指す。また、塩類等の問題についても検討し、適正なふん尿処理リサイクルシステムの確立を図る。
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[成果の内容・特徴]
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良質堆肥生産技術を確立するため、生ふんが水分約60%、比重0.5となるように堆肥で調整し、混合・粉砕後、約1.5mの高さで堆積発酵処理した。通気性等の改善で、十分な温度上昇(摂氏70度以上)があり、約2か月で良質な堆肥生産が可能となった。また、粉砕することで汚物感が無くなり、利用しやすい形状となった(図1)。
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堆肥の敷料リサイクルを行う場合、問題となる病原微生物について、細菌検査はDHL寒天培地および卵黄加マンニット食塩培地で摂氏37度、24〜48時間、好気培養し、5%馬血液加ハートインフュージョン寒天培地で摂氏37度、24〜48時間、好気および嫌気培養した。また、寄生虫卵検査はショ糖浮遊法で実施した。その結果、ブドウ球菌(Staphylococcuswarneri、Staphylococcusepidermidis、Staphylococcusxylosus)は検出されたが、病原性が確認されているStaphylococcusaurus、Staphylococcushycusは検出されなかった。寄生虫卵についても検出されなくなった。このことから、堆肥を敷料として再利用することは可能であると考えられた(表1)。
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敷料リサイクルにおける堆肥の成分変化は、全カリや亜鉛等の塩類において若干の上昇が認められたが著しい上昇は認められなかった(表2)。
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敷料リサイクルを実施している畜種毎の堆肥中塩類濃度については著しい上昇は認められなかった(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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良質堆肥生産技術の基礎資料となる。
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病原微生物対策のため、発酵温度を上げ一定期間維持することが重要である。
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乳牛の敷料リサイクルを行う場合、塩類が集積しないようリサイクル回数に注意する必要がある。
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土壌分析を行う必要がある。
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堆肥の水分を40%以下にする必要がある。
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[具体的データ]
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図1 豚ふんの堆肥化過程における温度変化

表1 乳牛堆肥の敷料として再利用後の細菌検査成績(敷料として3回利用)

表2 乳牛ふんの堆肥化処理後の成分変化(敷料として3回利用)

表3 畜種毎の堆肥中の塩類濃度
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[その他]
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研究課題名:環境保全型良質たい肥のリサイクルシステムの開発
予算区分 :県単
研究期間 :1997〜2001年度