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パン屑とトウフ粕飼料を用いた豚からの窒素およびリン排泄量の低減


[要約]
パン屑とトウフ粕を主原料とし、フィターゼと不足するアミノ酸を添加した低タンパク質飼料を肥育豚に給与することによって、飼料単価を抑制しながら豚からの窒素およびリン排泄量を低減できる。

[キーワード]
パン屑、トウフ粕、窒素、リン、肉豚

[担当]
熊本県農業研究センター・畜産研究所・中小家畜部

[連絡先]電話096-248-6433	
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地(中小家畜)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
わが国における家畜糞尿の排泄量はすでに農地の受容能力の限界に達しているとされ、排泄量やその中に含まれる環境負荷物質そのものを低減させるための新しい技術の開発が望まれている。また、近年外食産業の発達により、工場残さ等が大量に発生しており、その有効利用による循環型農業の確立が急務となっている。そこで、食品工場残さであるパン屑とトウフ粕を主原料に、豚からの窒素およびリン排泄量を同時に低減させるための低コストな飼料を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. パン屑とトウフ粕を利用した低タンパク質飼料(LCP+PHY)の製造単価は、トウモロコシと大豆粕を主体とする高タンパク質飼料(HCP)に比較して16%低減する(表1)。

  2. フィチンリンの分解酵素であるフィターゼを添加した飼料(HCP+PHYおよびLCP+PHY)を肥育豚に給与することによって、フィターゼ無添加飼料(HCPおよびLCP)に対してリンの排泄量を46.0%(P&st;0.05)低減できる(図1)。

  3. 不足するアミノ酸を添加した低タンパク質飼料(LCPおよびLCP+PHY)を肥育豚に給与することによって、高タンパク質飼料(HCPおよびHCP+PHY)に対し窒素の排泄量を20%(P&st;0.01)低減できる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 丸粒トウモロコシや食品残さを利用した自家配合飼料農家において、豚からの環境負荷物質排泄量の低減のための低コスト飼料の製造に利用できる。

  2. パン屑の利用率を上げる場合には、食いこぼしが多くなるので、ウェットフィダーを利用する。

[具体的データ]

表1 試験飼料の内容(%)と成分


図1 リン排泄量に対するPHYの効果


図2 窒素排泄量に対するLCP+AA飼料の効果

[その他]
研究課題名:環境負荷物質排泄量低減を考慮した低コスト良質豚肉生産技術の開発
予算区分 :助成試験(地域新技術型)
研究期間 :2001〜2003年度