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急傾斜地でのカキの平棚栽培における収量、果実品質、作業性


[要約]
急傾斜地のカキ園において平棚栽培を行うと、立木栽培に比べて樹冠占有率が高まり、10a当たり収量が多くなる。果実品質は果重が重く、果皮色が優れ、糖度が高くなる。管理作業は脚立を使用する割合が低くなり、薬剤の付着度が増加する。整枝法は2本主枝のオールバック仕立てが3本主枝に比べて作業性が優れる。

[キーワード]
カキ、急傾斜地、平棚栽培、樹冠占有率、収量、果実品質、整枝法

[担当]
福岡農総試園研・果樹部・落葉果樹研究室

[連絡先]電話092-922-4946	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
平坦地から緩傾斜地のカキ園において、従来の立木仕立て栽培に替わる平棚仕立て栽培方式を開発し、低樹高化による作業効率の向上、労働負担の軽減並びに収量の安定と果実品質の向上などの効果をこれまでに明らかにしてきた。しかしながら、福岡県のカキ園は傾斜度30度以上の急傾斜地が多く、管理作業における労働負担は平坦地以上に大きく、急傾斜園でも平棚が適応できる技術開発が求められている。そこで、急傾斜地においてカキの平棚栽培を行った場合の収量、果実品質、作業性および整枝法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 急傾斜地のカキ園において平棚栽培を行うと、樹冠占有面積1m2当たりの収穫果数や収量は立木栽培と同程度であるが、樹冠占有率が高いため、10a当たり収量が多くなる(表1)。

  2. 平棚栽培での果実品質は、立木栽培に比べて果重が重く、果皮色が優れ、糖度が高くなる(表2)。

  3. 摘蕾、摘果、収穫作業で脚立を使用する割合は平棚栽培が明らかに低くなる。せん定に要する時間は、平棚栽培と立木栽培の差がない(表3)。

  4. 平棚栽培の2本主枝(V字形のオールバック仕立て)と3本主枝(2本は傾斜に沿って上方向、1本は下方向に配置した仕立て)では、収量と果実品質には差がない。各種作業で脚立を使用する割合は、2本主枝で低くなる(表1表2表3図1)。

  5. スピード・スプレーヤによる防除では、平棚栽培が立木栽培より薬剤の付着度が増加する。また、平棚栽培の整枝法では差がない(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 急傾斜地におけるカキ平棚栽培の指導資料として活用できる。

  2. 急傾斜地では、カキ樹の植列のすぐ上に作業道を設置すると管理作業がしやすくなり、機械の導入も容易となる。

[具体的データ]

表1 急傾斜地におけるカキの仕立て法と収量(2000〜2001年)


表2 急傾斜地におけるカキの仕立て法と果実品質(2001年)


表3 急傾斜地におけるカキの仕立て法と各種作業の脚立の使用割合(2000〜2001年)


図1 急傾斜地でのカキの平棚栽培の整枝法(オールバックV字整枝)

[その他]
研究課題名:傾斜地におけるカキ平棚栽培技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2001年度