早生温州の隔年交互結実栽培における遊休年の樹高低減効果
- [要約]
- 早生温州の隔年交互結実栽培法の遊休年において、春剪定時に樹高低減を行うことで生育や栄養、収量、品質に影響することなく、剪定、薬剤散布、収穫の作業時間が1割以上減少し、省力化できる。
- [キーワード]
- 早生温州、隔年交互結実栽培、樹高低減、省力化
- [担当]
- 佐賀果樹試・常緑果樹研究室
[連絡先]電話0952-73-2275
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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早生温州の隔年交互結実栽培法の遊休年においては、着果負担がないため樹冠拡大が著しく薬剤散布や収穫などの作業性が悪化しやすい。そこで遊休年の春剪定時に樹高低減をおこない、新梢の発生や樹体栄養、収量、品質、省力化程度について明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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遊休年に樹高2.7〜2.8m程度の樹を2.3〜2.4m程度に樹高低減を行った樹は、通常の刈り込み剪定樹と比較して新梢の発生数や長さ、着葉数はほぼ同等である(表1)。
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樹高低減樹の葉中窒素濃度は、通常の刈り込み剪定樹と同等である(表2)。
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樹高低減樹の収量や品質は、通常の刈り込み剪定樹と比べると果皮色がやや濃く、クエン酸がやや低い傾向にあるが、明らかな差は認められない(表3)。
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樹高低減により、剪定、薬剤散布、収穫の作業時間が短縮され、通常の刈り込み剪定のみの場合に比べ1割以上省力化できる(表4)。
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[成果の活用面・留意点]
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露地の早生温州における隔年交互結実栽培に活用できる。
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施肥や葉面散布、病害虫防除等は樹高低減を行わない場合と同様に十分行う。
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樹高低減した部分から強い枝が出るが、生産年には着果が多いため品質への影響はほとんどない。
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刈り込み剪定では、春は除葉率を40%程度、夏は20%程度とし、樹高低減は春の剪定時に行う。
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[具体的データ]
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表1 新梢の発生状況(2001年)

表2 葉中窒素濃度 (2001年)

表3 収量、品質 (2002年11月19日)

表4 作業時間
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[その他]
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研究課題名:早生温州における隔年交互結実栽培技術の確立
予算区分 :委託試験(連携開発研究)
研究期間 :2001〜2004年度