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カンキツ「天草」の摘果の早期化による果実肥大促進


[要約]
ハウスで栽培された「天草」は、満開後50日位の早期に葉果比80〜120程度に摘果することで果実肥大が優れ、収穫時の階級も大きくなり収量が増加する。

[キーワード]
ハウス、天草、果実肥大、葉果比、早期摘果、階級、収量

[担当]
佐賀果樹試・常緑果樹研究室

[連絡先]電話0952-73-2275	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
ハウス栽培されたカンキツ新品種「天草」等の中晩生カンキツ品種は、商品性の向上を図るために、大玉果の生産が必要である。そのため、「天草」の果実肥大特性を把握し、適正な葉果比や摘果時期について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 夏期の8月における日肥大量は、葉果比120区が90区、50区より多く、秋期における10月の日肥大量は葉果比50区が120区、90区より少ない(図1)。

  2. 6月下旬の果実横径が大きい程、収穫時の果実横径も大きくなる傾向にある(図2)。

  3. 摘果時期の早晩にかかわらず、葉果比の大きい方が果実横径は大きくなる。ただし、満開後50日頃の6月上旬に葉果比80〜120程度で行う早期摘果は、葉果比に関係なく満開後65日頃の6月下旬に行う後期摘果より肥大促進効果は大きい(図3)。

  4. 収穫時の階級は、早期摘果することでM、L階級果の割合が減少し、2L階級果以上の割合が増加する(図4)。

  5. 収穫時の果実品質及び収量は、早期摘果区で果実肥大が良好であることから、やや糖度が低くなるが、収量は増加する(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 「天草」のハウス栽培に活用できる。

  2. 気象条件等により生理落果が遅くまで続く場合には、落果状況を確認しながら摘果を行う。

  3. 過度の摘果は、果実品質の低下を招く恐れがあるため注意する。

  4. 仕上げ摘果も必要に応じて実施する。

[具体的データ]

図1 月毎の葉果比別日肥大量(2000年)


図2 6月下旬の果実横径と収穫時における横径との相関(2000年)


図3 摘果時期及び葉果比の違いによる果実横径の推移(2001年)


図4 摘果時期の違いが階級に及ぼす影響 (2002年)


表1 摘果時期の違いが収穫時の果実品質・収量に及ぼす影響(加温栽培2002.11.18)

[その他]
研究課題名:新中晩生カンキツの施設利用による高品質安定生産技術の開発
予算区分 :助成試験(新技術地域実用化)
研究期間 :1999〜2003年度