ビワ用改良ガス透過量調節フィルムのMA包装によるビワ果実の鮮度保持効果
- [要約]
- ビワ「茂木」の果実を、ビワ用改良ガス透過量調節フィルムでMA包装をし、摂氏10度〜摂氏15度環境下で貯蔵すると、収穫後約10日間は、果実の減量が少なく食味は保持され腐敗および萎凋の発生はみられない。
- [キーワード]
- ビワ「茂木」、ガス透過量調節フィルム、MA包装、貯蔵、食味、腐敗、萎凋
- [担当]
- 長崎果樹試・常緑果樹科
[連絡先]電話0957-55-8740
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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ビワ果実は、通常の保存状態では、収穫後6日を経過すると、食味が低下し果皮の萎凋や腐敗の発生が多くみられる。ビワの消費拡大を図るためには、果実鮮度保持技術の開発が望まれている。そこで、青果物用に使用されているガス透過量調節フィルム「Pプラス」を用い、フィルムで果実を密封し袋内のガス組成を低酸素高二酸化炭素状態に調節して果実の呼吸を抑制し、湿度を90%以上に保ち果実からの水分の蒸散を抑制するMA包装の効果を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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ビワ果実の鮮度保持で、食味に最も関係が深い果実形質は、果実の減量率で、次いで果実糖度、果皮色の橙色の濃度である(表1)。
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「Pプラス」従来のオレイン酸ポリプロピレン素材は、ビワ包装体内が結露し腐敗等の発生の原因となるので、素材をポリアミド/EVAと紙/EVAに変えることで、透湿性を向上させ結露を防止した。フィルムの酸素透過量を6,900cc/pack・day・atmにすることで、ビワ自身の呼吸とガス透過量のバランスにより包装体内酸素濃度が6〜15%となり、呼吸を抑制し品質低下が緩やかになる。
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減量率は、MA包装することにより低下し、貯蔵温度が低いほど低下する(表2)。
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果実糖度及び食味は、MA包装の貯蔵温度摂氏10度〜摂氏15度の低下が少ない(表3、表4)。
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収穫後12日間は、MA包装により果実の萎凋の発生はみられず、また、腐敗の発生も少ない(データ省略)。
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[成果の活用面・留意点]
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ビワ果実を流通させる場合には、摂氏10度〜摂氏15度の低温が望ましくMA効果も高い。
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低温環境から気温の高い室温環境へ移す場合は、果実温度の上昇により呼吸が著しく高まり食味が変化するので、果実温度が急激に変化しないように留意する。
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[具体的データ]
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表1 貯蔵中の食味と果実形質との関係(2001年)

表2 貯蔵中における減量率の変化(2001年)

表3 貯蔵中における糖度の変化(重量変化修正値)(2001年)

表4 貯蔵中における食味の変化(2001年)
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[その他]
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研究課題名:新品種「涼風」「陽玉」の栽培技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2002年度