カンキツ「天草」の加温ハウス栽培における適正着果量は葉果比80〜100
- [要約]
- 「天草」の加温ハウス栽培では、着果量を葉果比80〜100(1立方メートル当り14果)にすることで、細根活性や葉色が良好となり、樹勢の維持が図られ、翌年の着花が適量確保でき、高品質果実が安定生産できる。
- [キーワード]
- 天草、着果量、葉果比、安定生産
- [担当]
- 宮崎総農試・果樹特産部・常緑果樹科
[連絡先]電話0985-73-7099
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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カンキツ新品種「天草」は、本来早熟な性質を有するが施設栽培することで、大果で品質も向上するため年末贈答用の商材として高級感のある果実の生産が可能である。しかし、着果負担に伴う隔年結果により収量が不安定になる場合がある。そこで、施設栽培された「天草」における高品質連年安定生産のための適正着果量を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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着花は、前年の着果量に影響され、着果量が多いほど翌年の着花量は少ない(表1)。
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前年着果量少区(葉果比100〜120)及び多区(葉果比60〜80)では、翌年の生理落果が多いため、全般的に着果量が少なくなる傾向にある(図1)。
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着果量が多い場合(葉果比60〜80)、着果負担により細根の活性が低下し、翌年の葉色が薄くなるなど樹勢に及ぼす影響が大きい(表2、図2)。
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前年の着果量が中程度(葉果比80〜100)では、着果量多区や少区に比べ、収量が多く、また、商品化率や果実品質が向上し、安定生産が可能となる(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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葉果比80〜100の着果量の目安は、樹冠容積から算出すると、1立方メートル当り14果程度である。
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着果量は、樹勢に応じて加減する必要がある。
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本試験成績は、施設栽培された「天草」での結果である。
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[具体的データ]
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表1 前年の着果量が着花及び新梢に及ぼす影響(2002年3月25日調査)

図1 着果量(着果率)の比較

表2 着果量の違いが根活性に及ぼす影響

図2 前年の着果量が葉色に及ぼす影響

表3 前年の着果量が収量及び果実品質に及ぼす影響(2002年11月6日調査)
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[その他]
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研究課題名:地域特産カンキツの高品質安定生産に適した施設利用技術の開発
予算区分 :助成試験(新技術地域実用化)
研究期間 :平成11年〜15年度