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日本ナシ「豊水」の年1回施肥法


[要約]
日本ナシ「豊水」は有機配合肥料区に比べ肥効調節型肥料区は収量が多く、果実品質も優れ、年1回施肥や年間窒素投入量を削減するなど、施肥作業の省力化が可能となり、環境への負荷も軽減できる。

[キーワード]
日本ナシ、豊水、肥効調節型肥料、環境負荷軽減、省力化

[担当]
熊本農研セ果樹研・病虫化学部

[連絡先]電話0964-32-1723	
[区分]九州沖縄農業・果樹、生産環境	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
ナシでは、秋〜冬季にかけて年間投入量の約8割を元肥として施用し、流亡と溶脱による環境負荷が懸念されている。このため、熊本県内では施肥基準を年4〜5回分施に切り換え、普及を図っている。しかし、生産者の高齢化や雇用労力も問題となり、肥効調節型肥料(被覆尿素)を用いて収量、果実品質に及ぼす効果を明らかにし、「豊水」における年1回施肥法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 2000〜2002年までの3カ年において,単年の収量および累計収量とも肥効調節型肥料区が他区より優れ、その累計収量は対照区の115%となる(図1)。

  2. 糖度は,肥効調節型肥料区が他区より高く,3カ年平均では対照区より0.7高い(図2)。

  3. 肥効調節型肥料区は果肉硬度が他区より低く,果実の熟期が進むことにより、出荷時期を早めることができる(図3)。

  4. 肥効調節型肥料を施用することにより、年1回施肥が可能になり、省力化が図れる。また、年間窒素投入量を施肥基準の70%に抑え、環境への負荷軽減が期待できる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 肥効調節型肥料施用の場合、土壌条件は問わないが、土壌が過乾燥のときは窒素の溶出やその根群域への浸透が遅れるので注意する。

  2. 肥効調節型肥料施用の場合、減肥の割合は、堆きゅう肥施用の有無、その種類、施用量並びに土壌診断結果に基づき決定する。

  3. 肥効調節型肥料の窒素溶出速度は地温に強く影響されるので、11月下旬の施用時期を厳守する。

[具体的データ]

表1  日本ナシ「豊水」における施肥時期と施肥量


図1 1樹当たり収量


図2 果実糖度


図3 果肉硬度

[その他]
研究課題名:日本ナシ`豊水'における肥効調節型肥料の効果
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2002年度