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カンキツ「天草」自根発生樹の樹体特性


[要約]
自根発生樹は、非発生樹に比べ、地上部では中枝、大枝が、地下部では中根、大根の割合が多い。また、T/R率(地上部/地下部比)は低く、葉及び細根量は非発生樹と同程度であることから直接生産に関係のない器官の生育が旺盛な樹体特性を示す。

[キーワード]
天草、自根、T/R率

[担当]
宮崎総農試・果樹特産部・常緑果樹科

[連絡先]電話0985-73-7099	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
最近、苗木を利用した「天草」において、栽植の状態によって自根の発生が多くみられる。定植後2〜3年程度であれば自根と台木根(カラタチ)との区別は容易であるが、年数が経過するに従い区別しにくくなる。そこで、解体調査により自根発生樹の栽培特性を解明し、高品質安定生産に寄与するためその実態を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 地上部の器官別構成割合を自根発生樹と非発生樹(台木根)で比較すると、葉、緑枝の割合はほとんど同程度、2〜3年生枝及び小枝は、非発生樹で少なく、中枝、大枝は自根発生樹が多い(図1)。

  2. 地下部では、細根、小根の割合ほとんど同じであるが、中根、大根は、自根発生樹の方が圧倒的に多い(図2)。

  3. T/R率は、非発生樹(台木根)の方が高く、葉重/細根重比は、両者ほぼ同じ程度である(図3)。

  4. 階層別に根の分布をみると、全般的に0〜40cmの層に集中し、特に自根発生樹の場合、20〜40cmにおける中根の割合が極めて多い(図4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 遺伝子診断技術のひとつであるRAPD分析の結果をもとに、高畝栽培された自根発生樹及び非発生樹、10〜11年生樹を解体調査した結果である。

  2. 本試験成績は、黒ボク土壌で施設栽培された「天草」での結果である。

[具体的データ]

図1 地上部の器官別構成割合


図2 地下部の形状別重量(乾物重g)


図3 T/R率と葉重/細根重比の比較


図4 根の垂直分布割合

[その他]
研究課題名:地域特産カンキツの高品質安定生産に適した施設利用技術の開発
予算区分 :助成試験(新技術)
研究期間 :1999〜2000年度