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カキ「西村早生」のへたすき・果芯黒変が果実軟化に及ぼす影響


[要約]
カキ「西村早生」の樹上や収穫後急激に軟化する果実は、健全果に比べて呼吸量が多く、収穫直後からエチレンの発生がみられる。これらの軟化した果実は、後期肥大に伴うへたすきや果実内部が黒変する果芯黒変などの障害が多い。

[キーワード]
カキ、西村早生、軟化、エチレン、へたすき、果芯黒変

[担当]
福岡農総試園研・果樹部・落葉果樹研究室

[連絡先]電話092-922-4946	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]科学・普及	

[背景・ねらい]
カキ「西村早生」は、樹上や収穫後に急激に軟化する果実が多くみられ、収穫後も日持ち性も悪く、流通上の大きな問題となっている。しかし、これらの軟化に対する防止技術は十分に確立されておらず、発生機構も明らかとなっていない。そこで、「西村早生」の軟化果実の生理的特性を調査し、へたすきや果芯黒変などの果実の障害との関係を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 「西村早生」の樹上軟化する果実の障害要因はへたすきが最も多く、次いで果実の芯が黒くなる果芯黒変が多い(表1)。

  2. 収穫始期に出荷された果実の中には、幅は狭いが深さの深いへたすきや果芯黒変のあるものが混在している(図1)。これらの果実は、健全果に比べて、日持ち日数が短い(表2)。

  3. へたすきや果芯黒変のある果実は、健全果と比較して呼吸量が収穫直後から上昇してエチレンが発生し、軟化が始まる(図2図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 「西村早生」の軟化果発生防止対策の参考資料として活用する。

  2. へたすきを防止するため、後期肥大を助長しないようにする。

  3. 収穫初期の果実はへたすき・果芯黒変果による軟化が多いので、市場での取り扱いには特に注意する。

[具体的データ]

表2 「西村早生」の秀品中の障害果と日持ち性(2001年)


図1 秀品に混入していたへたすき・果芯黒変果


図2 収穫後の呼吸量の推移


図3 収穫後のエチレン生成量の推移

[その他]
研究課題名:カキの樹上軟熟果発生要因解明と発生防止法の確立
予算区分 :経常
研究期間 :2000〜2004年度