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点滴かん水施肥による促成ナスの2年栽培


[要約]
「トレロ」を台木とした促成ナス「筑陽」の点滴かん水施肥2年栽培では、2年目の収量(7月〜6月)は29t/10aとなり、慣行(10月〜6月)の1年栽培に比べ上物重で5t/10a、総収量で10t程度多くなる。主枝は7月上旬に分岐節上1〜2節目で4本を一斉に更新剪定する。

[キーワード]
促成ナス、点滴かん水施肥栽培、2年栽培、更新剪定

[担当]
福岡農総試・野菜花き部・野菜栽培研究室

[連絡先]電話092-922-4364	
[区分]九州沖縄農業・野菜・花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
促成ナスの点滴かん水施肥栽培において栽培マニュアルを作成するために、施肥量と土壌の好適な硝酸態窒素濃度および点滴かん水チューブの設置位置について明らかにした(H13年度成果情報)。さらに、省力化を図り、収益性を向上させるためには、点滴かん水施肥による2年栽培が有効と考えられる。そこで、2年栽培における主枝の更新剪定方法と収量、品質について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 「トレロ」を台木とした促成ナス「筑陽」の点滴かん水施肥栽培では、7月から8月にかけて更新剪定を行い2年継続して栽培すると2年目の収量(7月〜6月)は28〜29t/10aとなり、慣行の1年栽培(10月〜6月)に比べ上物重で5t/10a、総収量で10t程度多くなる(図1表1)。

  2. 栽培2年目の7月上旬に分岐節上1〜2節目で主枝4本を一斉に更新剪定した場合は、7月上旬および8月中旬に2本ずつ2回に分けて更新剪定した場合より7月、8月の収量は少ないが9月の収量が多くなる。7月〜10月の収量は両剪定方法とも10t/10a程度である(図1)。

  3. 栽培2年目の7月は曲がり果、ぶく果、つや無し果が多く発生し、上物率が著しく低下するので、2回に分けて更新剪定するより7月上旬に一斉に剪定する方法が、9月からの収穫量が増加し、上、中物重が増加する(図2図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 7〜8月は高温のため品質が低下するので、昇温抑制塗布剤をマルチに処理するなどして、根域の昇温を抑制する。

  2. 更新剪定後は病害虫防除を徹底し、栽培2年目への病害虫の持ち込みを防止する。

  3. 青枯れ病抵抗性を有し、樹勢の強い台木を用いる。

[具体的データ]

図1 点滴かん水施肥による2年栽培における月別収量


表1 点滴かん水施肥による2年栽培


図2 月別上物率


図3 月別不良果発生率

注)1.慣行1年栽培は、2000年、2001年とも9月20日に定植した。点滴かん水施肥による2年栽培では2000年9月20日に定植し、[I]区は2001年7月10日に主枝4本とも一斉に主枝分岐節上1〜2節目で更新剪定、[II]区は7月10日と8月20日に2本ずつに分けて更新剪定した

2.1年目は慣行1年栽培の施肥量(N:7kg/a)の50%、2年目は75%。

3.点滴かん水施肥栽培の2年目は、7月下旬〜9月はタイベックシートで、10月以降は黒ビニルでマルチング

[その他]
研究課題名:施設果菜類における施肥量削減技術の確立
予算区分 :県特
研究期間 :2001年度(1999〜2002年)