送風式害虫捕集防除機の開発
- [要約]
- シュンギク、コマツナなどの軟弱野菜の葉上の害虫を送風で捕集網に追い込むことにより、効率的に捕集することができる害虫捕集防除機を開発した。開発機は、シュンギクにおける1回の往復処理によりマメハモグリバエ成虫を70%以上捕集可能であり、顕著な密度抑制効果がある。
- [キーワード]
- 小型・軽量、害虫捕集防除機、軟弱野菜、マメハモグリバエ、密度抑制
- [担当]
- 福岡県農総試・野菜花き部・施設機械研究室
[連絡先]電話092-922-4111
[区分]九州沖縄農業・野菜花き、農業機械・土木
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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福岡県では、シュンギク、コマツナ、チンゲンサイ等の軟弱野菜の施設周年栽培が行われているが、これらのマイナー・クロップは登録農薬が極めて少ない。また、生産現場では消費者の生鮮野菜への安全志向が高まる中で、化学合成農薬に依存した防除体系からの脱却が求められている。そこで、圃場で害虫を効率的に捕集することにより農薬使用を削減できる害虫捕集防除機を開発し、開発機によるマメハモグリバエ密度抑制および農薬削減効果を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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開発機の主な構造は、送風発生手段の動力源付きブロアと、複数の送風口を備えた送風管および捕集網(目合い約0.4mm)を搭載した2輪式の台車とからなる(写真1)。
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開発機は、接触棒がシュンギク、コマツナなどの野菜の上位葉に接触することにより葉上に着棲している害虫を飛び立たせ、飛び立った害虫を送風で捕集網の内側に追い込んで捕獲する防除機である(図1)。
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開発機は、多条平畝栽培のシュンギクにおいて、1回の往復処理により73.7%のマメハモグリバエ成虫を捕集できる。また、マメハモグリバエの発生増加がみられる時点から7日間程度の連日捕集防除により、発生密度を無防除の約1/3に抑制でき、次世代の成虫の発生も顕著に抑制できる(図2、一部データ略)。
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捕集防除(12回程度)と農薬散布1回の組み合わせは、農薬3回散布程ではないが、無防除に比べて顕著にマメハモグリバエの被害を抑制できる(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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本機を使用することにより、化学合成農薬の使用を削減した安全・安心野菜として有利販売が可能となり、農家の収益向上が図られる。
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作業高さは茎葉接触棒が作物の上位葉に触れる高さが適し、作業時の送風速度は10m/s以上に調整する。
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対象作目はコマツナ、チンゲンサイ、また、対象害虫はコナガにも使用が可能である。
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害虫捕集防除機は企業と共同で特許出願中である。
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[具体的データ]
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写真1 開発した害虫捕集防除機

図1 開発機の害虫捕集機構

図2 捕集防除によるマメハモグリバエの密度抑制効果

表1 捕集防除によるマメハモグリバエ被害葉率と調製後のシュンギク生重割合
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[その他]
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研究課題名:捕集防除機の開発と利用技術
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2001年度