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葉柄専用サツマイモ苗の大量生産法


[要約]
葉柄専用サツマイモのほふく茎を各節直下で葉も切断し、培養土に挿す(一芽挿し)と、25日前後で定植用の苗が少面積で大量に生産できる。苗養成時には、摂氏15度以上の平均気温条件が必要であり、培養土は水田土及び真砂ともに適し、N成分で200mg/L前後の肥料分を施すと苗の生育は優れる。

[キーワード]
サツマイモ、葉柄、一芽挿し、気温、培養土、肥料

[担当]
福岡農総試・八女分場・中山間地作物研究室

[連絡先]電話0943-42-0292	
[区分]九州沖縄農業・野菜・花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
サツマイモの葉柄(イモヅル)は、根強い需要があり直売所では欠かせない品目で、今後は機能性食品として消費拡大も期待できる。また、栽培にはあまり経費を要せず、中山間地域農業の主な担い手である高齢者や女性でも取り組みが容易な品目である。ここでは、葉柄専用品種「エレガントサマー」を用いてサツマイモ葉柄の安定・多収生産技術確立の前段として、苗を短期間に少面積で大量に生産できる方法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 伸長したほふく茎を各節直下で葉も切断し、腋芽を有した切断茎1節を培養土に、節の部分を培養土中に埋めるように挿す(一芽挿し)と、25日前後の短期間に定植用の実用的苗が少面積で大量に生産できる(図1)。

  2. 苗養成のための温度条件は、気温では昼温摂氏20度ー夜温摂氏10度(平均摂氏15度)以上で、平均気温が摂氏22.5度まで及び地温が摂氏25度までの範囲では、共に高温ほど根部や地上部の生育が優れる(図2図3、一部データ省略)。

  3. 苗養成のための培養土には水田土および真砂ともに適し、培養土にはN成分で200mg/L前後の肥料分を施すと苗の生育は優れる(表1、一部データ省略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 苗養成に用いる切断茎は、腋芽の伸長が始まった節が苗養成は早い。

  2. 苗養成時の管理では、特に多湿と過乾燥に留意する。

  3. 葉柄生産のために多肥・多かん水栽培して得たいもは貯蔵が困難なため、種いもは窒素成分量10kg/10a以下の少肥条件下で栽培して確保する。

[具体的データ]

図1 葉柄専用サツマイモ苗の生産フロー図


図2 気温条件と成苗率及び根重


図3 地下部温度と成苗率及び根重


表1 培養土の種類及び施肥量と切断茎からの発根及び苗生育の関係

[その他]
研究課題名:葉柄専用サツマイモの栽培技術確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2001年度