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ニンジンの不織布利用による抽台抑制及び増収効果


[要約]
ニンジンの10月下旬〜11月上旬まきで間引き後(3〜4葉期)、不織布被覆栽培を行うことにより抽台が抑制される。また、根身の肥大がすぐれ4〜5月に良品が生産できる

[キーワード]
ニンジン、10月下旬〜11月上旬まき、不織布被覆、抽台、抑制

[担当]
鹿児島農試・大隅支場・園芸研究室

[連絡先]電話0994-62-2001	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
ニンジンの4〜5月どり栽培は、現在11月下旬〜1月上旬まきのトンネル被覆が主体であり、収量・品質は、安定しているが、資材、労力の面でコストがかかり、県内、県外産地で栽培が減少してきている。一方、露地マルチ栽培では、抽台の発生が多く、生産が不安定である。そこで、資材、労力のコスト低減及び春どり栽培の生産安定の面から、不織布(べたがけ資材)を利用した4〜5月どり栽培技術を確立するため、不織布被覆による抽台抑制及び増収効果について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 抽台率は、無被覆栽培9.0%、不織布浮きがけ栽培3.6%、農ビトンネル栽培0.7%で、不織布(べたがけ資材)利用による抽台抑制効果が認められる(図1)。

  2. 不織布浮きがけ栽培の抽台根を除く正常根収量は、農ビトンネル栽培の79%、無被覆栽培の159%で、300kg/a以上の収量が得られる(図1)。

  3. 2月の不織布被覆内の最高気温は農ビトンネル被覆内に比べると半旬平均で摂氏1.5〜6.6度低いが、無被覆に比べると摂氏6.2〜9.3度高い(図2)。

  4. 10月30日、11月13日、11月20日のいずれのは種期でも間引き後4月18日まで不織布で浮きがけ栽培すると無被覆の栽培に比べて抽台率が低く収量が高い(図3)。

  5. 不織布栽培は、年によって収量が変動するものの34〜39%(100kg/a前後)の増収効果が認められる。また被覆法の違いによる収量差は認められない(図4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 年平均気温摂氏16〜17度地帯に適用する。

  2. 品種は「向陽二号」、もしくはこれより抽台の遅い品種を使用する。

  3. 不織布被覆除去時期は、3月中旬頃の最高気温が摂氏20度を超える時期とする。

[具体的データ]

図1 被覆資材の種類が抽台率・収量に及ぼす影響(2000年度)


図2 時期別最高気温の推移(2001年)


図3 は種期、被覆の有無が抽台率・収量に及ぼす影響(2001年度)


図4 被覆法が収量に及ぼす影響(2000,2001年度)

[その他]
研究課題名:環境負荷低減に対応した大規模畑作野菜農業の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2002年度