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早掘りジャガイモの肥効調節型肥料を利用した全量基肥栽培


[要約]
早掘りジャガイモの速効性窒素肥料と30日タイプの肥効調節型窒素肥料を成分配合割合7:3で施用した全量基肥栽培は、2割減肥しても速効性窒素肥料利用の基肥+追肥の標準栽培と同等の収量が得られ、追肥作業の省力化と施肥量の削減が図られる。

[キーワード]
早掘りジャガイモ、肥効調節型窒素肥料、全量基肥栽培、減肥

[担当]
鹿児島農試・熊毛支場・園芸研究室

[連絡先]電話0997-22-0007	
[区分]九州沖縄農業・野菜・花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
熊毛地域におけるジャガイモ栽培の施肥法は、速効性肥料を主とした基肥+追肥の体系が一般的であるが、肥効調節型肥料の利用により追肥を省略した全量基肥栽培、さらには環境負荷低減を目的とした減肥栽培が可能と考えられる。そこで、肥効調節型窒素肥料による全量基肥栽培及び施肥量削減技術を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 肥効調節型窒素肥料(30日タイプ)と速効性窒素肥料を配合した全量基肥栽培は、2割減肥しても、生育初期から収穫期の茎長、収穫時の茎葉重及び塊茎上品収量が基肥+追肥の標準栽培と同等である。また、2割減肥栽培での速効性窒素肥料と肥効調節型窒素肥料の成分配合割合7:3の塊茎収量は5:5及び3:7を上回る(表2図1)。

  2. 肥効調節型窒素肥料を利用して2割減肥した全量基肥栽培の茎葉中及び塊茎中の窒素含有率は、標準栽培と同等である(図2)。

  3. 窒素吸収量は茎葉重、塊茎重に対応し、1.3〜1.5kg/aで、全量基肥施用で2割減肥しても標準栽培と同等である(図2)。

  4. 窒素利用率は肥効調節型肥料を利用した全量基肥栽培が標準栽培を上回り、減肥割合が大きい程高くなる(図2)。

  5. 肥効調節型窒素肥料の栽培期間での窒素溶出率は、気温が低下する1月以降は緩慢となり、栽培終了時(1/31)では75%である(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 熊毛地域(年平均気温摂氏18〜19度の特殊暖地)での栽培に適応する。

  2. 施肥作業の省力化と肥料費のコスト低下、環境保全型農業に寄与する。

  3. 品種は「ニシユタカ」で、無マルチ栽培である。

  4. 施肥法は条施用で、牛ふん堆肥150kg/aを施用している。

[具体的データ]

表1 施肥量


図1 規格別塊茎収量


表2 生育


図2 茎葉・塊茎窒素含有率、窒素吸収量及び窒素利用率(2001年度)


図3 肥効調節型窒素肥料(リニア型30日タイプ)の溶出率

[その他]
研究課題名:青果用バレイショの種いも地場生産技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2001年度