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NFT養液栽培におけるニガウリ用低コスト単肥配合培養液処方


[要約]
冬春期のニガウリのNFT養液栽培において、養分吸収特性を考慮した処方液を単肥配合で作成することにより慣行肥料コストを約5割削減し10アール当たり10トン以上の収量を得ることができる。

[キーワード]
NFT、ニガウリ、単肥配合、低コスト

[担当]
沖縄県農試・園芸支場・野菜研究室

[連絡先]電話098-973-5530	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
周年・減農薬・クリーン栽培のために導入された養液栽培は、ランニングコストが高い。その中で肥料コストについては、培養液管理技術を含めて検討の余地がある。本県における培養液管理は、他府県の気象条件・作物を対象に開発された処方を用いたECコントロールのみで行われている。特に近年生産増加が著しいニガウリについては、養分吸収特性が不明で、その肥培管理は手探り状態でなされている。そこで、本県で導入されている養液栽培システムの中で最も多いNFTにおいて、栽培環境およびニガウリの養分吸収特性を考慮した、単肥配合による低価格の培養液処方を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 養分吸収特性を考慮した培養液組成は以下のとおりである。慣行処方に比較して試作処方は初期のリン酸及びマグネシウム濃度は高く、硝酸態窒素濃度は低くなる。

  2. 試作処方の収量は12t/10a(5ヶ月収穫)で、慣行栽培の30%増となる(図1)。

  3. 慣行処方では収穫中期頃から培養液pHの極端な上昇でFe欠乏が生じ、収量低下を招く場合がある(図2図1)。

  4. 微量要素は慣行処方の半量添加でも、収量に差はない(図3)。

  5. 200株/10aの栽植密度で1年栽培する場合の肥料コストは、慣行処方387,700円に対し、試作処方は48%減の203,500円である(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 水道水利用を前提とする。他の原水の場合は、再計算を要する。

  2. 原則としてNFTシステムを対象とするが、他のシステムでも応用できる。

  3. 培養液タンク負荷が12株/トンであれば、全期間(6ヶ月)をとおして培養液交換は必要ない。

[具体的データ]

図1 収量の推移


図2 培養液pHの変化


図3 微量要素添加量が収量に及ぼす影響


表1 濃厚原液(50倍濃縮)100リットルの作成法と肥料コスト

[その他]
研究課題名:養液栽培における沖縄処方培養液の開発
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2001年度