軟X線照射花粉利用による小玉スイカの品種と種子形成
- [要約]
- 小玉スイカの半促成栽培で軟X線照射花粉を2倍体スイカに用いることによって、着色種子の発生が抑えられ、着果率も高く、収量及び品質が3倍体スイカより優れる。また、播種時の種子が大きい品種では、大きいしいなが発生しやすい。
- [キーワード]
- 軟X線、小玉スイカ、品種、半促成栽培
- [担当]
- 熊本農研セ・農産園芸研究所・野菜部
[連絡先]電話096-248-6446
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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本県産のスイカは大玉が主体で、店頭ではカット販売が主流であるが、消費者ニーズは年々多様化しており、食味の優れることはもちろん、1玉単位で購入できる小玉スイカや食べやすい種なしスイカの供給も必要性を増している。そこで、本県で取り組みの少ない小玉スイカをベースに、特徴ある高品質スイカの開発に取り組み、新しい熊本ブランドを確立する。本研究では、軟X線照射花粉が半促成小玉スイカの果実品質および種子形成に及ぼす影響と品種間差異について明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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軟X線処理花粉を2倍体スイカに交配しても着果率は高く、果実肥大は3倍体と同等以上で、秀品率も高い。(表1)。
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軟X線処理の2倍体スイカは3倍体スイカより糖度が高く、果皮が薄く、品質が優れる。(表1)。
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軟X線照射花粉を用いた2倍体スイカは、着色種子の発生が抑えられる(図1)。
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種子が大きい品種では、大きいしいなが発生しやすいので種子の小さな品種が適する(図1、図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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作型は半促成栽培とする。
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軟X線照射量は800〜1200Gyを基本とする。
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両性花は稔実種子が発生しやすいので、照射花粉利用の対象外とする。
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虫媒による交配が懸念される場合は、雌花に袋かけが必要となる。
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[具体的データ]
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表1 品種と着色、収量及び果実品質

図1 品種と種子形成

図2 品種と播種時の種子長径
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[その他]
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研究課題名:種なしスイカの安定生産技術確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2002年度