トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)の血清学的検出のための抗体作出
- [要約]
- 純化したトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)を抗原として作出した抗体は,ウェスタンブロッティング法およびDAS-ELISA法でトマト黄化葉巻病の罹病葉から特異的にTYLCVを検出できるため,トマト黄化葉巻病の診断に活用できる。
- [キーワード]
- トマト、トマト黄化葉巻ウイルス、血清学的診断
- [担当]
- 福岡農総試・病害虫部・野菜花き病害虫研究室
[連絡先]092-924-2938
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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平成8年に九州に発生したトマト黄化葉巻病は,現在,九州管内では大分県および沖縄県を除く全県で発生しており,毎年トマト産地に被害をもたらしている。トマト黄化葉巻ウイルスはシルバーリーフコナジラミによって容易に媒介されるため,早期診断に基づく罹病株の除去は防除対策上重要である。そのため検体を簡便かつ迅速に診断できる技術が必要とされる。そこで,簡易迅速診断法である血清学的手法に利用するための抗血清(抗体)を作出する。
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[成果の内容・特徴]
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純化したTYLCV粒子(図1)を抗原として家兎を免疫して作出した抗TYLCV血清は,ウェスタンブロッティング法により罹病葉磨砕液中のTYLCVを特異的に検出できる(図2)。
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作出した抗TYLCV血清から精製した抗体(IgG)を用いたDAS-ELISA法によりコーティング用抗体濃度0.5mg/mlでコンジュゲート(アルカリフォスファターゼ標識抗体)濃度2,000倍まで罹病葉磨砕液中のTYLCVを特異的に検出できる(図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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普及現場におけるトマト黄化葉巻病の簡易かつ迅速な診断が可能となる
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[具体的データ]
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図1 純化ウイルスの電顕像(15万倍)

図2 ウェスタンブロッティング像

図3 DAS-ELISAによるトマト感染葉からのTYLCVの特異的検出
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[その他]
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研究課題名:トマト黄化葉巻ウイルスの簡易迅速検出・診断技術の確立
予算区分 :国庫助成(先端技術)
研究期間 :2001〜2003年度
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