MBI-D系統薬剤耐性イネいもち病菌の種子伝染と佐賀県における発生分布
- [要約]
- MBI-D系統薬剤耐性菌は、種子で生存し、次作の伝染源となる。2002年に佐賀県内のいもち病常発地帯を中心に葉いもちの耐性菌が広範囲に認められたことから、次作も引き続き耐性菌が広範囲に発生する。
- [キーワード]
- イネ、いもち病、MBI-D系統薬剤、耐性菌
- [担当]
- 佐賀農業セ・土壌環境部・病害虫農薬研究室
[連絡先]電話0952-45-2141
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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カルプロパミド粒剤は、いもち病に対する高い効果が持続することから、佐賀県内に広く普及していた。ところが、2001年から佐賀県西北部を中心にその効果が低下する現象がみられ、その原因はMBI-D系統(シタロン脱水酵素阻害型メラニン合成阻害剤)薬剤耐性菌の発生によることが明らかとなった。今後の耐性菌の発生を予測し防除対策を講じるために、いもち病の主要な伝染源である汚染種子における耐性菌の発生状況と2002年の葉いもちにおける分離頻度を調査した。
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[成果の内容・特徴]
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種子から分離したいもち病の菌のMBI-D系統薬剤耐性菌検定を生物検定(カップ植えイネ苗にカルプロパミド剤100ppmを散布し、防除価80未満を耐性と判定)により行ったところ、耐性菌の発生地帯で採取された種子は、耐性菌が生存しており、次作の伝染源となる(図1、表1)。
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葉いもちでの耐性菌の発生を予測する手段として、種子から分離したいもち病菌の耐性検定が有効である(図1、図2、表1)。
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佐賀県のいもち病の常発地帯を中心にMBI-D系統薬剤耐性菌が広域に分布し、次作も引き続き発生する(図1、図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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MBI-D系統薬剤耐性いもち病菌の発生地帯に適用できる。
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[具体的データ]
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図1 佐賀県における種子(2001年産)分離いもち病菌のMBI-D剤耐性

図2 佐賀県における葉いもちのMBI-D剤耐性菌発生状況(2002年)

表1 異来歴種子使用隣接圃場における耐性菌の発生状況
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[その他]
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研究課題名:発生予察事業(薬剤耐性菌検定)
予算区分 :国庫
研究期間 :2001〜2002年
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