イチゴ疫病の二次伝染に対する育苗期雨よけの防除効果
- [要約]
- イチゴ疫病は、育苗期の二次伝染において、まず土壌が汚染してイチゴに感染、発病する。イチゴの育苗期のビニル被覆による雨よけは、疫病菌の周辺への飛散を少なくし、二次伝染を抑制できる。
- [キーワード]
- イチゴ疫病、育苗期、雨よけ、伝染抑制
- [担当]
- 佐賀県農業セ・土壌環境部・病害虫農薬研究室
[連絡先]電話0952-45-2141
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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イチゴ疫病は、育苗期および本圃初期において発病し、苗不足・生育の不揃い等を招き、安定生産を図るうえで大きな問題となっている。特に被害が顕著な育苗期の防除対策を確立するために、イチゴ炭疽病の防除手段として有効な育苗期雨よけの本病に対する防除効果を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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育苗期のいずれの被覆条件においても、疫病が発病した株のクラウン部は褐変している。クラウン部が褐変している株のポット土壌のみならず、疫病未発病株のポット土壌からも病原菌が高い割合で検出される。これらのことから、本病の伝染は、まず土壌が汚染してから、イチゴが感染、発病する(図1)。
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イチゴの育苗期において、ビニル被覆は、疫病の発病株率2.5%と露地の37.5%に比較してかなり低く、高い二次伝染防止効果を示す。一方、寒冷紗被覆においては、抑制効果は低い(図1)。
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土壌からの疫病菌の検出ポット率は、露地に比較してビニル被覆で56%と低く、土壌汚染の拡大が抑制される。一方、寒冷紗被覆においては、抑制効果は低い(図1)。
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[成果の活用面・留意点]
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本成果は、疫病に対する耐病性が弱い品種において適用性が高い。
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雨よけを行っても、土や水が跳ね上がるような潅水を行うと防除効果が低下する。
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[具体的データ]
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図1 イチゴ疫病発病株隣接株における発病と病原菌の検出
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[その他]
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研究課題名:イチゴ苗立枯症防除技術の確立
予算区分 :国庫(総合的病害虫管理推進事業)
研究期間 :2001〜2003年度
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