フィプロニル粒剤の有効期間とコブノメイガ追加防除の必要性
- [要約]
- フィプロニル粒剤を苗箱処理した普通期水稲において、コブノメイガの8月の幼虫ふ化揃い期が粒剤処理後60日以内である場合は、その後の追加防除は不要である。
- [キーワード]
- コブノメイガ、普通期水稲、フィプロニル粒剤、被害許容水準、残効
- [担当]
- 佐賀農業セ・土壌環境部・病害虫農薬研究室
[連絡先]電話0952-45-2141
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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フィプロニル粒剤のコブノメイガに対する防除効果の持続期間を明らかにすることは、8月上旬以降に本種の追加防除を判断するうえで重要である。本種幼虫の発生時期は年によって異なため、本粒剤の効果は被害の発生時期を考慮して評価する必要がある。そこで、これらの観点から調査を行い、本粒剤の防除効果の持続期間と追加防除要否を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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フィプロニル粒剤のコブノメイガに対する防除効果(ここでは、イネの被害葉率の無処理比)は、年次や移植日によって異なる(表1)。
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幼虫ふ化揃い期(発蛾ピークD+7日)の時点での粒剤の防除効果は、老齢幼虫終期(D+24日)のイネの被害程度から判定できる。D+7日時点での粒剤処理後日数(X)とD+24日頃の被害葉率(Y:対無処理比)との関係を調べると、両者の間にはy=0.0299x-1.54・・1の関係が認められる(図1)。
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1式を用いて計算すると(図2)、コブノメイガの8月の幼虫ふ化揃い期が粒剤処理後60日以内である場合は、多発生条件(被害葉率65%を仮定)であっても、その後の被害葉率が20%以下(約5%以下の減収)に抑えられるので、追加防除は不要である。
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[成果の活用面・留意点]
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フィプロニル粒剤を処理した早生品種等で、老齢幼虫終期が出穂期以降と予想される場合は、幼虫ふ化揃い期が、粒剤処理後60日以降であっても追加防除の必要性は低い。
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多肥栽培等で、葉色が濃い圃場では、幼虫ふ化揃い期が移植60日以内であっても追加防除の必要な場合がある。
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8月にみられるトラップによる成虫捕獲ピーク時期の中点を、発蛾ピーク日(D)とする。
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[具体的データ]
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表1 各試験区でのコブノメイガの幼虫ふ化揃い期と老齢幼虫終期の被害葉率

図1 コブノメイガ幼虫ふ化揃い期の粒剤処理後日数(X)と老齢幼虫終期における被害葉率(Y:無処理比)との関係

図2 多発条件を想定した場合の被害葉率算出例
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[その他]
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研究課題名:コブノメイガの発生予察と効率防除
予算区分 :国庫補助(病害虫発生予察推進事業)
研究期間 :1999〜2001年度
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