コレマンアブラバチとネオニコチノイド系粒剤を併用した秋冬作メロンのワタアブラムシ防除体系
- [要約]
- ネオニコチノイド系粒剤の定植時植穴処理とコレマンアブラバチ(500頭/10a)を定植30日後から1週間間隔で2〜3回放飼する体系は、秋冬作メロンにおいて収穫期までワタアブラムシの発生を実害のない低い密度に抑制できる。
- [キーワード]
- ワタアブラムシ、コレマンアブラバチ、ネオニコチノイド系粒剤、メロン
- [担当]
- 熊本農研セ・農園研・病虫部、九沖農研セ・野菜部・上席
[連絡先]096-248-6490
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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メロンではワタアブラムシやハダニ類、スリップス類、ハモグリバエ類など多種類の害虫が発生する。これらの害虫に対する防除は、化学農薬体系によって対処されてきたが、食の安全性や生態系への影響を軽減するために、化学農薬に頼らない防除技術の開発が必要となっている。ウイルス病の媒介昆虫であり、すす病や枯死株の原因となるワタアブラムシは、秋冬作メロンにおいて最も重要な害虫である。そこで、生育初期におけるウイルス病の感染防止とスリップス類やコナジラミ類との同時防除を目的としたネオニコチノイド粒剤の定植時植穴処理とコレマンアブラバチを併用した防除技術を開発する。
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[成果の内容・特徴]
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定植時植穴処理されたネオニコチノイド系粒剤のワタアブラムシに対する効果は、定植後、約30日間維持される(図1)。
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ワタアブラムシの発生初期からコレマンアブラバチを1週間間隔4回放飼することで、ワタアブラムシの発生を長期間、低密度に抑える(図2)。
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コレマンアブラバチに寄生されたワタアブラムシは金色のマミーとなるので、マミーの出現および増加で定着や効果を確認する。
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秋冬作メロンにおいて、ネオニコチノイド系粒剤を定植時に植穴処理し、粒剤の効果が低下する定植30日後からコレマンアブラバチを1週間間隔で2〜3回放飼する体系は、定植から収穫期までワタアブラムシを低密度に抑制する。ウイルス病の感染やすす病および枯死株の発生は実害のない水準であり、慣行防除と同等からやや高い防除効果が得られる(図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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10a以上の連棟ハウスで使用する場合は、数カ所に分けて放飼する。
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放飼時に発生が認められる場合は、発生株の株元に放飼すると定着が容易になる。
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ワタアブラムシ以外の病害虫防除には、コレマンアブラバチに影響がないか、または小さい薬剤を使用する。
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[具体的データ]
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図1 アブラムシに対するネオニコチノイド系粒剤の効果

図2 ワタアブラムシに対するコレマンアブラバチの密度抑制効果

図3 現地農家圃場におけるワタアブラムシに対するコレマンアブラバチの密度抑制効
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[その他]
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研究課題名:環境負荷低減のための病害虫高度管理技術の開発
予算区分 :国庫委託
研究期間 :2000〜2003年度
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