露地栽培「不知火」のスリップス類による果実被害と防除体系
- [要約]
- 露地栽培の中晩生カンキツ「不知火」ではチャノキイロアザミウマの発生が多く、被害は主に果頂部に発生する。イミダクロプリドフロアブルの6月上旬及び下旬、7月中旬の3回散布で被害を軽減できる。
- [キーワード]
- 不知火、チャノキイロアザミウマ、果実被害、防除
- [担当]
- 鹿児島果樹試・病虫研
[連絡先]0994-32-0179
[区分]九州沖縄農業・病害虫、果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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露地栽培の「不知火」では、果頂部に雲形状のカルスを形成するスリップス類による被害が発生し、商品性を低下させ問題となった。そこで、露地栽培の「不知火」果実におけるスリップス類の発生消長を明らかにし、防除対策を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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露地栽培「不知火」の果実におけるスリップス類の発生は、チャノキイロアザミウマが主体で(表1)、7月中〜下旬に最多となり、8月以降は減少する(図1)。
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果実上のチャノキイロアザミウマは、約90%が果頂部に寄生する(表1)。
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果実の被害は主として果頂部に発生し、果梗部では少ない(図1)。
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被害の症状は6月中旬以降に発現し、被害果率は7月下旬にかけて高くなるが、以後はほとんど変化しない(図1)。
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イミダクロプリドフロアブル3,000倍の6月上旬及び下旬、7月中旬の3回散布は、被害軽減効果が高い(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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露地栽培の「不知火」におけるチャノキイロアザミウマの防除を適正化できる。
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薬剤散布間隔はおおむね20日とし、イミダクロプリドフロアブルと同等の防除効果を示す剤を選択して体系化する。
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甘夏、文旦及び「河内晩柑」では果梗部の被害が主体で、「不知火」とは被害の様相が異なる。
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夏秋梢の発生が少ない場合は、8月以降に果実の被害が増加することが考えられるので注意する。
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[具体的データ]
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表1 露地栽培「不知火」の果実におけるスリップス類の発生状況1)

図1 「不知火」果実におけるチャノキイロアザミウマの寄生虫数及び果頂部、果梗部の被害の発生消長(1999年、出水市)

表2 チャノキイロアザミウマに対する防除効果1)(2000年)
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[その他]
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研究課題名:不知火、タンカンの樹勢強化・高品質安定生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1997〜2001年
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