トマト黄化葉巻ウイルスの虫媒接種による感染植物
- [要約]
- トマト黄化葉巻ウイルス(イスラエル系統長崎株:TYLCV-Is)を虫媒接種法により11科26種の植物に接種したところ,トマト,チョウセンアサガオ,Nicotianabenthamiana,ペチュニア,ピーマン,ジャガイモ,インゲンマメ,トルコギキョウの3科8種に感染した。このうちジャガイモは新たに判明した感染植物である。
- [キーワード]
- トマト黄化葉巻ウイルス、宿主範囲
- [担当]
- 福岡農総試・病害虫部・野菜花き病害虫研究室,長崎総農林試・病害虫科
[連絡先]092-924-2938
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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平成8年に九州に発生したトマト黄化葉巻病は,現在,九州管内では大分県および沖縄県を除く全県で発生しており,一部地域では毎年トマト産地に被害をもたらしている。トマト黄化葉巻ウイルスはシルバーリーフコナジラミにより容易に伝搬されるため,トマト以外の伝染源となり得る作物,雑草等を特定することは本病の蔓延防止に極めて重要である。そこで,虫媒接種法により各種作物へのTYLCVの感染の有無を確認し,防除対策のための資料とする。
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[成果の内容・特徴]
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九州で発生しているTYLCVはシルバーリーフコナジラミによる虫媒接種法を用いて11科26種の植物に接種し,PCR法で感染の有無を確認するとトマト(品種:ハウス桃太郎),チョウセンアサガオ,Nicotianabenthamiana,ペチュニア(F1:中小輪系),ピーマン(品種:早生ハイグリーン),ジャガイモ(品種:メイクィーン),インゲンマメ(トップクロップ),トルコギキョウ(ピッコロブルーピコティー)の3科8種に感染する(表1)。このうちジャガイモは新たに判明した感染植物である。
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感染する3科8種の植物のうちピーマンおよびジャガイモでは無病徴である(表1および図1)。
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[成果の活用面・留意点]
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普及・栽培現場での圃場衛生管理の指導資料が作成できる。
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トマト以外の感受性作物の被害防止のための指導資料が作成できる。
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[具体的データ]
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表1 九州で発生しているTYLCVの宿主範囲

図1 接種による供試植物の病徴
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[その他]
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研究課題名:トマト黄化葉巻ウイルスの感染生態の解明に基づく発病抑止技術の開発
予算区分 :国庫助成(先端技術)
研究期間 :2001〜2003年度
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