促成栽培トマトの遅植え化による黄化葉巻病の発生回避
- [要約]
- 促成栽培トマトでは、定植時期を遅くするほど、Tomatoyellowleafcurlvirus(TYLCV)の媒介虫であるシルバーリーフコナジラミの発生量が減少するため、黄化葉巻病の発生が少なくなり被害を回避できる。
- [キーワード]
- 促成栽培トマト、黄化葉巻病、シルバーリーフコナジラミ、TYLCV、定植時期
- [担当]
- 長崎総農林試・環境部・病害虫科
[連絡先]電話0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・参考
-
[背景・ねらい]
-
Tomatoyellowleafcurlvirus(TYLCV)はシルバーリーフコナジラミによって媒介され、感染したトマトは新葉が黄化、萎縮して生長が止まり、着果不良になるため、長期間栽培を行う促成栽培で大きな被害を与える。現地調査(1998年、大村市)によると、夏から秋にかけての定植時期が遅いほど、本病の発生が少ない事例があることから、促成栽培トマトの定植時期別における、本病とシルバーリーフコナジラミの発生の推移を明らかにして、本病の防除対策に資する。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
促成栽培トマトにおいて、定植時期が遅くなるほど、気温が低下し(図1)、シルバーリーフコナジラミの寄生量が減少する。特に10月中旬以降の植付けでは少ない(図2)。
-
黄化葉巻病も定植時期が遅くなるほど、発病株率が減少する。10月中旬以降の作付では発病株率の進展が停滞する(図3)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
遅植え化により本病の発生を抑制することができるが、導入に当たってはトマトの収量や収益など、経営面を考慮する必要がある。
-
9月までに定植する場合は、育苗施設および本圃施設の開口部にネットを張り、薬剤防除を徹底する等、媒介虫をトマトに接触させないような対策を厳守する。
-
[具体的データ]
-

図1 日平均気温の推移(長崎県総合農林試験場気象観測データ)

図2 促成栽培トマトにおける定植時期別シルバーリーフコナジラミ成虫数の発生推移

図3 促成栽培トマトにおける定植時期別の黄化葉巻病発生推移
-
[その他]
-
研究課題名:トマト黄化葉巻病の病原ウイルス及び媒介虫シルバーリーフコナジラミの生態解明に基づく環境保全型防除技術の確立
予算区分 :国庫補助(地域新技術)
研究期間 :2001〜2003年度
目次へ戻る