促成栽培トマトのハモグリバエ類およびオンシツコナジラミの体系防除
- [要約]
- 9〜10月定植の促成栽培トマトのハモグリバエ類に対する天敵イサエアヒメコバチおよびハモグリコマユバチの放飼は、10月下旬〜11月だけで防除効果が高く、春季の追加放飼は必要ない。ピリプロキシフェンテープ剤との併用も可能であり、オンシツコナジラミとの体系防除もできる。
- [キーワード]
- 促成栽培トマト、天敵、ハモグリバエ類、オンシツコナジラミ、体系防除
- [担当]
- 熊本農研セ・農園研・病虫部
[連絡先]096-248-6445
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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天敵製剤を利用した促成栽培トマトのハモグリバエ類防除では、防除コストを抑えるために少量少数回放飼が望ましい。また、同時に問題となるオンシツコナジラミ防除にはピリプロキシフェンテープ剤が普及しているが、ハモグリバエ類天敵の防除効果に及ぼす影響は不明である。そこで、ハモグリバエ類天敵製剤の少数回放飼とピリプロキシフェンテープ剤を組み合わせた体系防除について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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9月および10月定植の促成栽培トマトのハモグリバエ類に対して、イサエアヒメコバチおよびハモグリコマユバチ各125〜150頭/10aを10月下旬〜11月に2〜3回放飼すると、ハモグリバエ類の密度は4月まで低く抑えられる(図1、図2)。
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5月以降にハモグリバエ類幼虫の潜孔数は増加するが、幼虫の死亡率が高まるため被害はない。そのため、春季の天敵の追加放飼は必要ない(図1、図2)。
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ピリプロキシフェンテープ剤を処理したハウスにおいてもハモグリバエ類天敵製剤の防除効果は高く(図1、図2)、併用が可能である。また、オンシツコナジラミの密度は栽培期間を通して低く抑えられる(図3)ことから、両資材を組み合わせることでハモグリバエ類およびオンシツコナジラミの体系防除ができる。
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[成果の活用面・留意点]
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トマトハモグリバエおよびマメハモグリバエが混発した25〜30aのトマト栽培ハウスで3年間行った結果である。
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トマト黄化葉巻病の感染防止のため、作期に関係なく10月まではシルバーリーフコナジラミの徹底防除が必要である。なお、殺虫剤を用いる場合、ハモグリバエ類天敵製剤の放飼1ヶ月前からは、選択性殺虫剤を用いる。
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[具体的データ]
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図1 ハモギリバエ類潜孔数および幼虫死亡率の推移(八代市、9月定植、30a、1999-2000年)

図2 ハモグリバエ類潜孔数および幼虫死亡率の推移(玉名市、10月定植、25a、2001-2002年)

図3 オンシツコナジラミ成虫の個体数の推移(八代市、試験ほ場および年次は図に同じ)
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[その他]
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研究課題名:天敵を主体とした冬春トマト害虫の防除体系の確立
予算区分 :令達
研究期間 :1999〜2001年度
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