太陽熱と地中加温システムの併用によるメロン黒点根腐病の防除
- [要約]
- 太陽熱消毒と地中加温システムの併用による土壌消毒は地下深い部分に対しても摂氏50度以上の地温を維持する。メロン黒点根腐病に対しても防除効果が認められ、2作連続でもその効果を維持する。
- [キーワード]
- 太陽熱消毒、地中加温システム、メロン黒点根腐病
- [担当]
- 宮崎総農試・環境部・病理科
[連絡先]電話0985-73-2124
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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太陽熱による消毒は簡易で安価な消毒法であり、臭化メチル代替技術の一つとして現在利用が進められているが、冷夏の場合には効果が低減する可能性が高く、また、地下深い部分までは熱が行き届かず消毒が不完全になる可能性がある。そこで、ハウス内地下40cmに埋設したパイプ(直径13mm)の中をボイラーで摂氏約80度に加温した熱媒体液(プロピレングリコール66%)を循環させ地温を上昇するシステムを利用し(図1)、太陽熱消毒と併用した場合の地温の上昇効果および比較的死滅温度が高いメロン黒点根腐病に対する防除効果を調査し、太陽熱消毒の補完的技術としての検討を行う。
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[成果の内容・特徴]
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処理開始1週間後には地下15cm、30cm、40cmのすべての測定個所で摂氏約50度に達する。(図2)
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陽熱単独区と比較して地下15cm地点では摂氏約5度、地下30cm、40cm地点では摂氏約10度程度高く推移する。(図2)
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メロン黒点根腐病に対する防除効果については1作目、2作目とも根の褐変がなく、太陽熱単独区と比較して高い防除効果が認められる。(表1)
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処理期間は24日間で地中加温システムの灯油使用量は約260リットルである。(埋込パイプの長さが合計80mの場合)
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[成果の活用面・留意点]
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畦の真下にパイプを敷く必要がある。
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土の再汚染を防ぐために、先に耕耘、施肥、畦立てを行ってから併用での処理を行うこと。
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処理直後は地温が摂氏50度以上になっているので、地温が低下してから定植を行うこと。
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土の再汚染を防ぐため、1作目の終了後、根を取りだし施肥後、畦上部のみを撹拌した後に2作目を定植することが望ましい。
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経営評価については今後検討を要する。
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[具体的データ]
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図1 地中加温システム埋設の概要及び地温測定個所

図2 処理期間中の各処理の地温及びハウス内温度の推移

表1 各処理のメロン収穫時の根部状況
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[その他]
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研究課題名:新技術地域実用化研究促進事業
予算区分 :国庫
研究期間 :平成13年度(平成11〜15年)
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