キャベツの鱗翅目害虫に対する複合交信攪乱剤コンフューザ-Vの防除効果
- [要約]
- キャベツ圃場に複合交信攪乱剤コンフューザ-Vを100本/10aで処理すると、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ、コナガおよびイラクサキンウワバに対して高い誘引阻害効果と交尾阻害効果が認められ、鱗翅目害虫による被害を軽減できる。
- [キーワード]
- 複合交信攪乱剤、コンフューザ-V、フェロモン、鱗翅目害虫、キャベツ
- [担当]
- 鹿児島農試・病虫部
[連絡先]099-268-3231
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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害虫に使用されている畑作用の交信攪乱剤のほとんどが単一の害虫を対象にしたものである。このため、対象害虫以外には防除効果が無く、交信攪乱剤が普及できない一因となっている。コンフューザ-Vは、コナガコン、ヨトウコンH、ヨトウコンSの3種類をベースとした現在開発中の複合交信攪乱剤であり、複数の鱗翅目害虫に有効である。そこで、コンフューザ-Vを100本/10aで30haに処理し、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ、コナガ、ヨトウガ、ウワバ類に対する交信攪乱効果、交尾阻害効果および被害防止効果を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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性フェロモントラップへの総誘殺数は処理区が無処理区に比べてハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、コナガ、オオタバコガ、イラクサキンウワバのいずれでも少なく、誘引阻害率はいずれも90%以上である(表1)。
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つなぎ雌の交尾率は処理区が無処理区に比べて低く、各種鱗翅目害虫において交尾阻害が認められる(図1)。
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農薬散布圃場および無散布圃場ともに、コンフューザ-Vを処理することで、鱗翅目害虫による被害を軽減できる(図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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コンフューザ-Vは、平成15年3月現在、農薬取締法に基づく登録がされていないので、試験研究以外には使用できない。
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長距離移動性のハスモンヨトウ、オオタバコガなどは、処理区外で交尾を行い、処理区内に侵入し産卵する可能性があり、広域処理が必要である
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複合交信攪乱剤によるキャベツ害虫防除技術確立の参考となる。
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コンフューザ-Vはキャベツの害虫であるアオムシに対する防除効果はない。なお、処理区、無処理区ともにアオムシの発生はほとんど認められなかった。
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[具体的データ]
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表1 複合交信攪乱剤の各種鱗翅目害虫に対する誘引阻害効果

図1 複合交信攪乱剤の各種鱗翅目害虫に対する後尾阻害効果

図2 異なる農薬散布条件における複合交信攪乱剤の広域処理における被害軽減効果
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[その他]
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研究課題名:性フェロモン利用による害虫類の環境保全型防除技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999年度〜
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