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佐賀県におけるIYSVによる新病害タマネギえそ条斑病(新称)の発生


[要約]
佐賀県においてタマネギの葉身に紡錘型のえそ輪紋またはえそ条斑症状を呈する病害が発生した。病原ウイルスはIris yellow spotvirus(IYSV)と同定されたので、本病をタマネギえそ条斑病と命名する。本ウイルスは、ネギアザミウマによって媒介される。

[キーワード]
タマネギ、Iris yellow spotvirus(IYSV)、えそ条斑病、ネギアザミウマ

[担当]
佐賀上場営農セ・研究部・畜産果樹研究室

[連絡先]電話0955-82-1930	
[区分]九州沖縄農業・病害虫、野菜花き	
[分類]科学・普及	

[背景・ねらい]
佐賀県内のタマネギ産地において、葉身に紡錘型のえそ輪紋およびえそ条斑症状を呈する病害が発生した。本病の原因解明を行い、今後の防除対策に資する。

[成果の内容・特徴]
  1. 本病は、初期にタマネギの葉身に長さ2〜3cmの紡錘型をしたえそ輪紋(図1-1)を示し、進展するとえそ条斑(図1-2)を示す。球の奇形はみなれない。

  2. 罹病タマネギの汁液を接種し、黄化えそ症状を呈したNicotiana benthamianaの病斑部を電子顕微鏡で観察すると、直径約80〜100nmの被膜を持つ球形粒子が観察される(図2)。

  3. IYSVに特異的なプライマーを用いたRT-PCR検定によって、病斑部から約900bpのDNA断片の増幅が得られる(図3)。

  4. IYSVを汁液接種したタマネギは、接種葉にえそを生じ、その病斑部はRT-PCRで陽性となる。

  5. IYSVによるタマネギの病害は本邦初確認であり、タマネギえそ条斑病と命名する。

  6. ネギアザミウマが本ウイルスを媒介する(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本病の発生地域では、ネギアザミウマの防除を徹底する。

  2. IYSVは、トルコギキョウ、アルストロメリアにも感染、発病する。

  3. 本病は、ボトリチス属菌による葉枯れ症等による病徴に酷似し、病徴による診断が難しいことから、同定に当たっては専門家に協力を求める。

[具体的データ]

図1 タマネギ葉身部の病懲


図2 タマネギのえそ条斑部から分離されたIYSVのウイルス粒子


図3 RT-PCRで増幅されたIYSVのDNA断片


表1 タマネギにおけるアザミウマによるIYSVの伝搬

[その他]
研究課題名:IYSVの発生生態と防除対策
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2002年度


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