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土中のMNSVおよびその媒介菌のメロン幼苗を利用した簡易検出法


[要約]
メロンえそ斑点病汚染土壌をつめたビニルポットにメロン幼苗を植え付け、摂氏25度で管理すると、3週間後には根部からMNSVおよびその媒介菌であるオルピディウム菌を同時に容易に検出でき、本検出法は防除素材の効果確認等に活用できる。

[キーワード]
メロン、えそ斑点病、MNSV、オルピディウム菌、検出法

[担当]
長崎総農林試・環境部・病害虫科

[連絡先]電話0957-26-3330	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]科学・普及	

[背景・ねらい]
メロンえそ斑点病はメロンえそ斑点ウイルス(Melon necrotic spot virus:MNSV)を病原とするウイルス病で、土中に生息するオルピディウム菌(Olpidium radicale)によって媒介される。本菌は絶対寄生菌であるため、寒天等の人工培地を利用した菌の分離検出や培養はできず、また、MNSVについても土中からの検出法が未確立であるため、これらの土中における詳細な動態は解明されていない。さらに、有効な防除素材の検索も主に圃場レベルで行われており、暖地のハウス栽培においては好適な実施時期が半促成栽培期に限られる。そこで、土中におけるMNSVやオルピディウム菌の簡易な検出法を検討し、これらの動態解明や有効な防除素材の検索等に資する。

[成果の内容・特徴]
  1. 本病汚染土壌をつめたビニルポットにメロン幼苗を植え付け、人工気象器内で摂氏20、25および30度で管理すると、根部におけるオルピディウム菌は光顕観察により摂氏30度で1週間後、MNSVもELISA検定により摂氏25度で1週間後に検出される。その後、いずれも増殖し、オルピディウム菌の増殖量は、摂氏30度で最も多く、次いで摂氏25度、摂氏20度の順であるが、MNSVは摂氏25度が最も多く、次いで摂氏20度、摂氏30度である(表1、図)。

  2. オルピディウム菌の器官別では、摂氏25度で管理すると1週間後には遊走子のうが認められて次第に増加し、3週間後には休眠胞子も検出され始める(表2)。

  3. 摂氏25度で、3週間育成すると、オルピディウム菌とMNSVを同時に容易に検出できる(表1表2、図)。

  4. 蒸気消毒した汚染土壌を本法で検定すると、3週間後でもウイルスを検出できないことから、消毒の有効性を確認できる(図)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本検出法は、土壌消毒の効果確認のほか、抵抗性品種の検定や拮抗微生物の選抜など、本病に対する防除素材の検索などに活用できる。

  2. 防除素材の検索を行う場合、生育や検出にバラツキが生じるのを防ぐため、土壌は一定の大きさ(4〜5ミリ目)のふるいにかけて用いる。

[具体的データ]

表1 えそ斑点病汚染土壌に植え付け後各種温度で育成したメロン根部におけるオルピディウム菌とMNSVの感染増殖推移

図各種育成温度下におけるメロン根部からのMNSVのELISA検出


表2 オルピディウム菌の期間別増殖

[その他]
研究課題名:総合的病害虫管理推進事業
予算区分 :国庫(植物防疫)
研究期間 :2001〜2002年度


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