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トマトに虫媒接種したTomato yellow leaf curl virusのPCR法による検出時期


[要約]
トマトに黄化葉巻病の病原ウイルスTYLCVを虫媒接種した場合、PCR法によるウイルスの検出は接種開始10日後から可能となり、全ての感染株から検出が可能となる時期は接種開始25日(接種終了20日)後である。

[キーワード]
トマト、黄化葉巻病、TYLCV、虫媒接種、PCR法

[担当]
熊本農研セ・農園研・病虫部

[連絡先]096-248-6490	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
トマト黄化葉巻病は,日本では1996年に発生が確認された新ウイルス病である。病原ウイルスであるTomato yellow leaf curl virus(TYLCV)はシルバーリーフコナジラミによって媒介される。TYLCVに感染したトマトは生長点が黄化、萎縮して生長が止まり、着花や着果が抑制されるため、長期間栽培を行う促成栽培で大きな被害を与える。本病の発生生態の解明や防除対策の検討には接種試験が必要である。そこで、接種試験においてウイルスの検出が可能となる時期と感染株率を調査する時期を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. トマトでのPCR法によるTYLCVの検出は、虫媒接種開始10日後から可能となり、接種開始25日(接種終了20日)以降、新たな検出株は認められない(図1図2)。

  2. 病徴調査による発病株は、接種開始20日後頃から確認されるが、接種開始40日(接種終了35日)経過しても発病しない検出株がある(図1図2)。

  3. PCR法による検出可能時期および発病時期は、接種時の媒介虫密度の影響を受けない(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本結果は、品種「ハウス桃太郎」、摂氏25度、13L11D条件で得られたものである。品種や温度条件で検出時期が異なる可能性があるので注意する。

  2. TYLCVの検出は、大貫ら(1999)の方法で行う。

[具体的データ]

図1 5日間接種における発病株率およびPCR法によるTYLCV検出株率の推移


図2 媒介虫の寄生密度が異なる条件で10日間接種した場合のPCR法によるTYLCV検出株率および発生株率の推移

[その他]
研究課題名:トマト黄化葉巻病の病原ウイルス及び媒介虫シルバーリーフコナジラミの生体解明に基づく環境保全型防除技術の解明
予算区分 :国庫補助(地域新技術)


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