デルフィニウムに発生したPythium aphanidermatumによる苗立枯病(新称)
- [要約]
- 定植直後のデルフィニウム幼苗に発生した立ち枯れ症状はPythium aphanidermatumによるものであり、病名をデルフィニウム苗立枯病と提案したい。
- [キーワード]
- デルフィニウム、デルフィニウム苗立枯病、Pythium aphanidermatum
- [担当]
- 実施機関名・宮崎県総合農試環境部・病理科
[連絡先]電話番号0985-73-2124
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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宮崎県で近年栽培面積が増加しつつあるデルフィニウムにおいて、定植直後に苗が萎凋枯死する病害が発生した。そこで、分離菌の形態・培養特性から病原菌を特定し、今後の防除対策に資する。
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[成果の内容・特徴]
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被害株からは白色綿毛状で無隔膜菌糸を有する糸状菌が高率に分離され、分離菌株(MK0001、MK0002)はいずれもデルフィニウムに対して強い病原性を示した。また、分離菌はトマト、キュウリ、ニンジン、ダイコン、ホウレンソウに対しても病原性を示した(図1)。
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MK0001およびMK0002菌株の胞子のうは膨状であり、その発達した球のうから遊走子を放出した。蔵卵器の表面は平滑で、内包している卵胞子は非充満型であった。また、蔵精器については樽型で、主に間性、蔵卵器への付着数は1個だった。これらの形態的特徴から分離菌はPythium属菌である(表1)。
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2つの分離菌株の生育適温は両菌株とも摂氏35度付近である(図2)。さらに蔵精器の間性率および蔵卵器の傾く割合から分離菌はPythium aphanidermatumである(表2)。
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以上の形態・培養特性から,分離菌はPythium aphanidermatum(Edson)Fitzpatrickと同定した。病名をデルフィニウム苗立枯病と提案する。
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[成果の活用面・留意点]
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デルフィニウムの育苗期の病害防除対策において活用できる。
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[具体的データ]
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図1 分離菌の各植物に対する病原性生育と温度

図2 デルフィニウム分離菌の菌糸

表1 デルフィニウム分離菌株の形態的特徴

表2 デルフィニウム分離菌の有性器
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[その他]
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研究課題名:デルフィニウムに発生したPythium aphanidermatumによる苗立枯病(新称)
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2002年度
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